<大相撲九州場所>◇2日目◇10日◇福岡国際センター
横綱白鵬(23=宮城野)が原点に戻り、連敗を阻止した。東前頭筆頭豊ノ島(25)をもろ差しになってから一気に寄り切った。黒星を喫した前夜は、大ファンの巨人が日本一を逃すダブルショック。この日の朝げいこで、自ら若い衆の胸にぶつかって気合を入れ直し、「V確率0%」の連敗スタートを阻んだ。
白鵬は西たまり席まで飛んでいった。「豊ノ島関がまわしを離さないから。前に出ようと思っていた。あとは流れです」。両脇を締めて相手の差し手を阻み、思い切り踏み込んだ。切られた右上手をすぐにねじ込み、もろ差しになって一気に前へ。取り口同様に自分を勢いづける1勝になった。
1年ぶりの黒星発進となった初日の夜、日本シリーズで巨人が西武に逆転負けした。4月1日の本拠地開幕戦では始球式も務めたほどの巨人ファン。テレビの前で応援した横綱は「残念だけどね…」。自らの黒星と「球界の盟主」の敗戦。先月27日の番付発表で「巨人・大鵬・卵焼き」の言葉を持ち出した「角界の盟主」にとっては、ダブルショックだった。
後援会関係者は「横綱は場所中、眠れないことが多いそうです」と明かす。眠れない夜が明け、ショックを引きずってはいられなかった。気合を入れ直し、この日の朝げいこでは突然、若い衆の胸にぶつかり始め、続けて7番の申し合い。ガムシャラに頭からぶつかりながら、邪念を捨てた。場所中は通常、基本運動で体を温めるだけ。部屋関係者を「ビックリした」と驚かせた。
過去、連敗スタートで優勝した力士はいない。負ければ「V0%」となる危機を脱し、笑顔が戻った。初日に擦りむいた右ほおの傷を「男の勲章」と振られ「いいんじゃないですか」。さらに車に乗り込む際には「おれが勝つしかないね」と、巨人の敵討ち?
を宣言。原点に戻った「1人横綱」が、ようやく眠りから目を覚ました。【近間康隆】

