<大相撲九州場所>◇13日目◇21日◇福岡国際センター
西序ノ口24枚目の若駿河(30=阿武松)が、涙の復活優勝を遂げた。序二段雷虎を寄り切って、序ノ口ただ1人の7戦全勝。1年前の九州場所は、自己最高位で迎えながら場所前に右ひざを負傷。「現役続行」と「引退」の間で揺れながら、周囲の激励とともに再び出世街道を歩み始めた。
Vロードをしっかり踏みしめ、若駿河の瞳は光っていた。1年前に地獄を見た福岡の地で、30歳を超えた男が涙の復活だ。「今場所は一番一番と思ってやりました。前に出る相撲が取れたと思います」。序二段5勝1敗の雷虎も相手にしない。力強く寄り切って、序ノ口優勝を決めた。
昨年11月。九州場所前のけいこ中に激痛が走った。「左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂」。力士生命を左右する重傷だった。「色々と考えましたけど、応援してくれる人がいた。『頑張れ』という声に、ものすごく励まされました」。30歳を前に現役続行を決断。12月に手術し、地道なリハビリに耐えた。5場所連続全休し、先場所は西序ノ口24枚目まで陥落。番付外への陥落手前で復帰した。「前の番付まで戻したい。これからですね」。故障時の番付、西幕下25枚目は自己最高位だった。まずは支えてくれた人へ恩返しの優勝。体重100キロの小さな体には、まだまだ大きな夢が詰まっている。

