島根県隠岐諸島から51年ぶりに新十両が誕生した。大相撲春場所(3月15日初日・大阪府立体育会館)の番付編成会議が28日に行われ、東幕下筆頭で初場所を7戦全勝優勝した福岡改め隠岐の海(23=八角)が十両に昇進した。船乗りになるつもりだったが、師匠の八角親方(元横綱北勝海)の誘いで角界入りし、05年初場所に初土俵を踏んだ。いわゆる国内の「離島」出身の現役関取は2人目。長崎・上五島出身の佐田の山以来の「離島出身横綱」を目指す。
「島を盛り上げたいですよね、やっぱり」。そう話すと、福岡改め隠岐の海はハッキリした二重まぶたを細めた。島根県からは74年初場所に関取となった忍の山以来、隠岐諸島からは58年秋場所の隠岐ノ島以来、実に51年ぶりの新十両誕生。「強くなれたらいいなと思うので、来場所も勝ち越せるように頑張ります」。関取としての大きな目標を掲げた。
日本海に浮かぶ島根県隠岐の島町に生まれ、小学4年から相撲を始めた。小さいころの夢は「船乗り」になることで、隠岐水産高では相撲部に在籍しながら実習船に乗った。「ハワイ沖まで行ってマグロ漁とかをしました。4メートルもあるサメを捕ったこともある」という。だが卒業後に進んだ2年間の専攻コース時代に嫌気がさし、八角親方からスカウトを受けて入門を決意。思い描いていた人生とは違う方向へと進んだが「力士になってよかった」と笑った。
だが甘くはなかった。昨年11月の九州場所は西幕下筆頭で5勝したものの、番付運に見放されて十両昇進を逃した。その時には既に「隠岐の海」というしこ名も決めていただけに「試練の場所だなと思いました。みんなが慰めてくれた」と振り返る。その悔しさをバネにしての初場所全勝優勝だった。八角親方も「先を考えたらよかった」と話した。
190センチ、145キロの恵まれた体格。春場所には「海をイメージした」ブルーのまわしを締める予定だ。「上を目指し、これから強くなりたい」。佐田の山、元大関若嶋津(鹿児島・種子島出身)ら「離島出身」の大力士の背中を追いかけていく。

