大相撲時津風部屋の序ノ口力士、時太山(当時17=本名・斉藤俊さん)が07年6月に暴行死した事件で、傷害致死罪に問われた元親方の山本順一被告(58)の第2回公判が13日、名古屋地裁で開かれた。証人として、書類送検された兄弟子2人が出廷。時太山死亡当日(26日)を「通常のけいこ」とする同被告の主張を、真っ向から否定した。

 現役力士の2人は着物にまげ姿で現れた。先に証言台に立った力士(29)は、かつての師匠の言い分をバッサリ切り捨てた。ぶつかりげいこには鍛錬と罰の意味があるとし、時太山へのけいこを「罰の方だと思いました」と証言。自身も加わった25日夜の暴行も「『鉄砲柱に縛っておけ』と言われた。(親方が)ずっと怒っていたのは無関係でないと思います」と、同被告の意をくみ取った行動とした。

 しかも事件直後、同被告が25日に時太山をビール瓶で殴って負傷させたことを「腕時計が当たったことにしよう」と、隠ぺい指示があったことも明かした。証言中、同被告はみけんにシワを寄せながら目を閉じ、2人の目線は最後まで合わず。力士は手錠に腰縄で退廷する元師匠を、後ろからじっと見詰めていた。

 一方、続いて出廷した別の力士(28)は圧倒された様子。まっすぐ前を見る同被告の視線を意識したのか、同じく証人出廷した兄弟子の裁判時と食い違う証言もあった。裁判官に「兄弟子3人の時とどちらが話しやすかったか」と聞かれた力士は「3人の時の方が…」。歯切れが悪く、核心を突くことはできなかった。

 次回は24日から3日連続で公判予定。執行猶予付き有罪判決が下された兄弟子3人をはじめ、かつての弟子が続々と証言台に立つ。この日も法廷内で笑みがこぼれるなど余裕のある元親方に、弟子の証言が効くのか。真実は1つしかない。【近間康隆】