<大相撲夏場所>◇初日◇10日◇東京・両国国技館
史上ワーストを更新する13度目のかど番となった大関千代大海(33=九重)が、旭天鵬を一気に押し出した。先場所は、糖尿病と左ろっ骨骨折の影響もあって、2勝13敗と皆勤大関としては史上最悪の成績で終えた。今場所前にはインフルエンザを発症し、ほぼぶっつけ本番で「進退場所」に突入したが、周囲の心配をぬぐい去るかのように白星発進した。
前に出る。千代大海は、その一点に集中していた。旭天鵬との立ち合い、1度つっかけたのも、そんな気持ちの表れだった。「うまく左がハズに入った」という2度目の立ち合いでは、右でのど元を押し、左ハズで161キロの旭天鵬の体を起こした。休まず前に出て白星発進。それでも、支度部屋ではすぐには笑顔が出ない。「もう始まったんでね。どうのこうの言わず、1日1日、勝負していく」。進退をかけた場所だけに、ホッとしていられない。
今は「数値は安定した」という約1年前からの糖尿病で、今場所は体重が6キロ減の144キロ。大関に上がった99年春場所は159キロで160キロ前後をキープしていたが、07年初場所160キロ以降、約2年で16キロも落ちたことになる。食事も、白米から玄米、卵も白身だけにするなど制限している。武蔵川理事長が「小さくなったな。だいぶやせたんじゃないか」と心配したほどだ。
「軽くなったけど、その分、立ち合い速く踏み込めるし、攻められると思っている」とプラス思考の千代大海。立ち合いから一気の突き押しでこれまできた相撲は「いまから変えられない」と割り切っている。
大関昇進から10年、62場所目。場所直前の4月29日で33歳になった。「年取りましたよ」と笑ったが「今までの経験を生かして、1日1番にかける。オレに大事なのは気持ちだけ」と、残り14日間に臨む。【赤坂厚】

