<大相撲夏場所>◇10日目◇19日◇東京・両国国技館
横綱白鵬(24=宮城野)が「大横綱」の仲間入りをした。大関千代大海(33)を寄り切って全勝をキープ。初場所11日目からの連勝を、元横綱貴乃花に並ぶ「30」に伸ばした。年6場所制が定着した58年以降、30連勝以上をマークしたのは優勝20回以上の大横綱ばかり。昭和以降7位の15場所連続2ケタ勝利となった若き横綱を、協会トップも絶賛した。大関日馬富士(25)も無傷の10連勝。横綱朝青龍(28)と平幕稀勢の里(22)は1敗を守った。
白鵬は30連勝の意味を知っていた。尊敬する元横綱貴乃花に並んだだけじゃない。昭和以降で30連勝以上を記録している力士は双葉山、千代の富士、大鵬、朝青龍、羽黒山、北の湖。大横綱の名前がずらり並ぶ。「人間ですから取りこぼしもあると思いますが、1つ1つ積み重ねていきたい。頼みます、明日は頼みます。明日は楽しみだ」。最後はおちゃめに新聞の「1面」をアピールした。
盤石だった。千代大海の突っ張りにも、下半身は崩れない。1歩も引かず、まずは左を差して組み止めた。右も巻き替えてもろ差しになると、右のかいなを返しながら寄り立てた。「下がらない自信はあった」。取組前は付け人に胸を突っ張らせ、イメージを想定した。強引な投げが目立ち始めていたが、要所で「四つ相撲」を取り切った。
若き横綱は、自宅で昔の力士VTRを見るのが好きだ。双葉山、大鵬と並び、お気に入りなのが貴乃花。「横綱は、辞めても横綱でなきゃいけないと思う。貴乃花親方には、今でも横綱の風格があるでしょ」。取り口だけじゃない。心の強さがなければ、綱の重圧には耐えられないという。
全勝優勝し、連勝を20にした春場所後。後援者から「連勝石碑」の話を聞いた。東京都江東区の富岡八幡宮。歴代の横綱名が刻まれた「横綱力士碑」がある同宮には、「超五十連勝力士碑」もある。江戸時代に63連勝した2代目谷風、明治時代の初代梅ケ谷(58連勝)太刀山(56連勝)、そして昭和の双葉山(69連勝)千代の富士(53連勝)。道はまだ遠いが、白鵬は「頑張ります」と話したという。名古屋場所千秋楽まで連勝を続ければ、この大台に到達することになる。
武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「連勝はさらに伸びていくと思う。優勝回数も伸ばす力のある力士だし、大横綱になっていく風格ができている」と絶賛した。2ケタ勝利も15場所連続となり、元横綱輪島と並び昭和以降7位。無傷10連勝は横綱になって3度目で、過去2回はいずれも全勝優勝している。「楽しくなってきた。重圧がないといったらウソになるけど、いい緊張感ですね」。余裕十分だった。【近間康隆】

