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日馬1敗対決変化してブーイング/夏場所

日馬富士は稀勢の里(左)をとったりで下す(撮影・下田雄一)
日馬富士は稀勢の里(左)をとったりで下す(撮影・下田雄一)

<大相撲夏場所>◇11日目◇20日◇東京・両国国技館

 注目の一番はブーイング交じりのため息に包まれた。大関日馬富士(25=伊勢ケ浜)が、勝負に徹して全勝を守った。1敗だった東前頭4枚目稀勢の里(22)との大一番は、右に動いてからとったりで転がし、初日から11連勝とした。ただ「真っ向勝負」を身上とする大関の、平幕相手の注文相撲に、期待を裏切られた観客はがっかり。

 歓声が、失望のため息に変わった。日馬富士は立ち合いで右へ変化し、稀勢の里の左腕を両腕で抱え込んだ。そのまま体を開いて腕をひねると、167キロの体はクルリと1回転。わずか1秒、大関が平幕相手に見せた注文相撲だ。ヤジとブーイングを浴びた日馬富士は「1回(相手に)当たったですよね、ボク」とバツが悪そうだった。

 全勝大関と1敗の日本人ホープの激突。賜杯の行方を占う一番に、ファンの期待も高かった。来場者が注目の一番を選ぶ懸賞「森永賞」に、両横綱の取組を差し置いて選出された。期待を裏切る変化に、日本相撲協会には10件を超える抗議電話が寄せられた。関係者は「今場所で一番多かった」と嘆き、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)も「2人のぶつかり合いを見たかったし、真っ向勝負の方がよかった」と首をひねった。

 日馬富士の身上は「真っ向勝負」。自身のブログ名にもしている。それだけに言い分もあった。「相手の左を殺して、右前まわしを取ろうと思った。自分が前まわし取るか、あいつが左を差すか。立ち合いで決まる」。場所前にはお互いの部屋へ出向き、けいこを重ねた。通算20度目の対戦。稀勢の里の「左差し」を封じることに勝機を見いだしていた。

 2日目から同じ浴衣には、白星のにおいをしみ込ませている。横綱、大関で、ただ1人優勝経験がないだけに、験担ぎも徹底する。「まだ横綱2人がいますので。(優勝は)もちろんチャンスがあればね」。尊敬する元大関の初代貴ノ花は、若き日の注文相撲で「ヤジ」を浴びてから「真っ向勝負」を貫いた。身上に背いてまで勝ち取った白星を、残り4日間のバネにする。【近間康隆】

 [2009年5月21日8時38分 紙面から]


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