<大相撲九州場所>◇8日目◇22日◇福岡国際センター
横綱朝青龍(29=高砂)が、史上単独2位となる23回目のストレート給金を決めた。明徳義塾高後輩の東前頭3枚目栃煌山(22)を豪快に送り投げて8連勝。「日本の父」と尊敬する元床山床寿の日向端隆寿氏(66)が応援に駆けつけた前で、全勝を守った。横綱白鵬(24)も全勝でターン。平幕で唯一、無敗だった東前頭9枚目嘉風(27)に土が付き、負けなしは両横綱のみとなった。
研究成果が生きた一番だった。朝青龍は栃煌山の右ほおを張りながら出て行くと、そのまま左上手をガッチリ。「場所前から(相手は)けいこでなかなかいい動きだったからね。左から攻めるイメージだった」。相手の右横に付いたために送り出してもよかったが、逆に切り返しての送り投げ。「いいと思うよ。ああいう動きは」。かぜをおして出向いた場所前の春日野部屋出げいこの成果だった。
2場所連続となる初日からの8連勝。その裏には、精神的な余裕が見え隠れする。後援会関係者によると、引退危機にあった1年前は、食事に行っても「張り詰めたものがあった」という。だが今場所前は、食事の席でサッカーW杯や男子ゴルフの石川遼の話題を楽しげに語るなど「完全に持ち直した感じ。引退という空気が流れなくなった」(同関係者)という。
この日は東京から頼もしい応援も駆けつけた。「日本の父」と慕う元床山床寿の日向端氏が来場。同氏は昨年同場所で定年を迎えたが、朝青龍はその最後の場所を左ひじ痛で全休した。申し訳なさから、会場正面に「名人床寿さん江
第六十八代横綱朝青龍」という幟(のぼり)を贈ったほどだった。支度部屋で「大先生、どうも!」と笑いながら日向端氏と固く握手。日向端氏も「昔みたいに放り投げるような強さはないけど、それだけ慎重に取っている。14戦全勝で千秋楽(対白鵬戦)だ」と横綱同士の全勝対決に期待した。
ストレート給金は23回目を数え、元横綱大鵬を抜いて単独2位。そのうち18場所で優勝を果たしており、秋場所からの連覇も現実味を帯びてきた。だが「全然そんなの思っていないよ。ああでもない、こうでもない。普通。冷静」。気持ちの余裕を得た今、25回目の賜杯も近づきつつある。【山田大介】

