<大相撲九州場所>◇9日目◇23日◇福岡国際センター

 横綱白鵬(24=宮城野)が年間80勝目を挙げた。大関千代大海(33)を盤石に寄り切って、初日から9連勝。自己最多だった昨年の79勝を上回り、史上6人目となる年間80勝に、史上最速で到達した。大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、朝青龍の大横綱しか達成していない大記録。

 白鵬は喜びをかみしめていた。自己最多の79勝を更新し、80勝の大台に到達。静かにほほ笑み「今年の目標達成ですね」とうなずいた。大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、朝青龍-。年間80勝達成者は、全員が優勝20回以上の大横綱。そうそうたるメンバーに仲間入りし「その縁起だけ持っていきたいですね」と笑った。

 節目の白星は、会心の相撲で決めた。鋭く踏み込んで得意の左前まわしをつかむと、一気に前に出る。俵に詰まった千代大海を休むことなく左からすくい、体を泳がせてから右も差して寄り切り。「いいところ取れましたからね。前に出るしかね」。陥落危機の大関に力の差を見せつけ、今年5度目の無傷9連勝と、抜群の安定感を見せつけた。

 賜杯奪回へモチベーションは上がる。このほど、九州の政財界が中心となった「後援会」ができることが決まった。会長には九州電力会長で、日本相撲連盟会長でもある松尾新吾氏(71)が内定。約300人を超える大組織で、すでに扱いは大横綱級だ。千秋楽翌日の30日、福岡市内で設立式が行われる。

 白鵬にとって神奈川、徳島に続く3つ目の個人後援会になる。関係者は「横綱は頑張る気になっています。あいさつするため、直接足を運ばれましたから」と明かす。5日目の打ち出し後、九州の主要政財界メンバーが集まった「パーティー」に出席。自分を支えてくれるメンバーに、しっかりあいさつした。場所後の晴れ舞台は、賜杯なしでは輝かない。

 九州場所9日目での「年間80勝」は史上最速ペースだ。残り6日間。狙うのは05年に朝青龍がマークした年間84勝の記録更新になる。77年から2年連続で80勝以上した北の湖親方(元横綱)は「80勝するには1つも休めないからね。白鵬は今、1番相撲が安定している。84勝は射程圏に入っていますよ」と期待する。白鵬は新記録への自信に「ないです」と笑いながら「近づいたかな、って実感はありますね」。成熟した24歳の横綱が、歴史を塗り替える。【近間康隆】