<大相撲九州場所>◇10日目◇24日◇福岡国際センター
大関千代大海(33=九重)が、史上1位の大関在位65場所で、ついに関脇に陥落した。横綱朝青龍(29)のつり出しに敗れ、2場所連続で負け越した。99年春場所で大関に昇進後、2度優勝(通算3度)し、在位記録を伸ばす一方、史上ワーストのかど番14度など、最近は力の衰えを隠せず、今場所も3日目から8連敗した。11日目から休場し、来年初場所(1月10日初日、両国国技館)に、10勝以上での大関復帰をかけるが、6敗した時点での引退をあらためて表明した。朝青龍と白鵬(24)の両横綱が全勝を守った。
精いっぱいの意地はみせた。千代大海は今場所ほとんど使えなかった痛む右を伸ばし、朝青龍をいったんは土俵際まで押し込んだ。だが、持ち味の破壊力はここまでが限界だった。残されてもろ差しを許して、つられた時点で、65場所守った大関からの陥落が決まった。
「もう何も考えず、すべてをぶつけたんで。負けはしたけど、横綱を相手に自分の立ち合いができたんでね。もう、持てる力をすべて出し切った」。目は赤かったが、ほほ笑みを浮かべながら、ついにきた「その日」を振り返った。
7敗目を喫した前夜は、負け越せば陥落することを「いろいろ考えた」という。「力社会なんで、自分の力が(相手に)伝わらないから、陥落にも悔いはないです。11年…この瞬間がくる時がくるとはね」と、覚悟を決めての一番だった。
99年初場所に関脇で初優勝。同春場所から大関を務め、02年名古屋、03年春と優勝し、綱とりには失敗したが、新進の朝青龍の壁になってきた。座右の銘「闘志」の通り、激しい突っ張りと押し相撲のため、けがも多く、公傷も含めて休場は13度に及ぶ。07年九州場所で久々に爆発力が復活。14日目に白鵬に敗れ、優勝を逃すとともに、右ひじ関節ねんざと大きな代償を支払った。今場所の、右が使えないもどかしい相撲も、そこに起因する。
「ふがいない大関陣」の象徴的存在で横綱審議委員会はじめ、周囲から批判の的にもなった。2ケタ勝利からは2年遠ざかり、今年は8勝が最高で、春場所はわずか2勝しか挙げられず、皆勤大関としてワースト記録を作った。14度のかど番も「もう1度、優勝したい」という思いで乗り越えてきたが、良くも悪くも「一時代」を築いた大関はついに力尽きた。
師匠の九重親方(元横綱千代の富士)と話し合い、11日目から休場し、来年初場所に向けて、治療に専念する。これまで大関復帰に成功した4人はいずれも20代。年齢的にも厳しい。「笑われるかもしれないけど、チャンスがあるんだから。来場所が本当の最後になるのかな」と弱気ものぞく。6敗した時点で即引退。今度は、退路を断って臨む。【赤坂厚】


