やっぱり殴っていた!

 大相撲の元横綱朝青龍関(29=本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ)が初場所中に暴行したとされる知人男性(38)が9日、警視庁麻布署で任意の事情聴取を受け「(朝青龍関に)車内で暴行を受けた」と話した。同署は元朝青龍関への事情聴取を検討する。日本相撲協会は、この問題で調査委員会を立ち上げながら、横綱の引退によって、事実解明に至っていない。10日に理事会で話し合われる元朝青龍関の功労金についても、影響を及ぼすのは必至の状況だ。

 矛盾していた「ウソ」が暴かれそうだ。元朝青龍関が暴行したとされる一般人男性はこの日、警視庁麻布署に任意の事情聴取を受けた。捜査関係者によると、男性は「(元朝青龍関から)車内で暴行を受けた」と説明したという。元朝青龍関は騒動発覚当初、被害者を個人マネジャーとし、次に週刊誌の報道で、相手が一般人と判明するや「殴った記憶はない」と主張してきた。今回の男性証言が事実なら、もう「言い訳」は通用しない。

 同署はこれまでも元朝青龍関に対し、任意の事情聴取を検討してきたが、今回の男性証言を受け、実施に踏み切る可能性は十分にある。

 警視庁によると、元朝青龍関と男性は1月16日未明、東京・六本木でトラブルになった。男性は現場に居合わせた麻布署員に「車内で暴行された」と訴え、その後、鼻骨骨折で全治1カ月の診断書を手に、同署に相談に訪れていた。

 男性は被害届を出さず、すでに麻布署に「今回のことについては許す」とする旨を記した1月29日付の示談書を、弁護士を通して2日に提出した。4日に元朝青龍関が電撃引退する前には、相撲協会に対し「暴行の事実はなかった」とする同意書も提出した。男性は今回の聴取で示談書内容を「自分の意思」と話しているものの、暴行を「酔って覚えていない」とうやむやにしてきた元朝青龍関は逃げ場がなくなった状況だ。

 そんな「騒動」も元朝青龍関には届いていない。滞在先のハワイでは、3日連続のゴルフざんまい。この日は米ツアーのソニーオープンも行われるワイアラエCCでプレーし、終始ご機嫌だった。満面の笑みを浮かべてカートも運転し、同伴者とはグータッチするなど、はしゃぎ回った。ゴルフを終えると、待ち受けた報道陣の問いかけには「ダメ、ダメ」と話し、不機嫌モードに。マネジャーらにがっちりガードされて、車で走り去った。

 10日には、日本相撲協会の臨時理事会が開催され、元横綱朝青龍関の特別功労金について協議する。過去最高は横綱貴乃花の1億3000万円。元朝青龍関は優勝回数で貴乃花を3度上回る25度で、通常なら史上最高額も予想される。しかし、一部理事からは疑問の声が上がり、今回の男性の証言で暴行の事実がはっきりしたことが影響を与えるのは必至の状況だ。理事会がどのような裁定を下すか注目される。