横綱千代の富士が記録した通算最多1045勝へ、あと1勝に迫っている大関魁皇(38=友綱)が、新記録達成へ準備を整えてきた。28日、名古屋場所(7月10日初日)が開催される愛知県体育館で会見。体重が回復したこと、周囲の盛り上がりで記録を意識せざるを得ない状況を明かした。魁皇後援会は、序盤での新記録樹立を期待し、地元の福岡・直方市で初日から3日目までパブリックビューイング(PV)を開催することを決めた。

 ムードの高まりを魁皇は肌で感じた。報道陣の要請で会見に応じ、すっきりした表情で話し始めた。通算最多1045勝まで、あと1勝。「これだけ言われれば、意識しないと言ったらウソになる。考えすぎてもしょうがない。普段通りに稽古して、場所を迎えられればいい」。初日から記録を注目されて、土俵に上がることになる。

 最近2年でも、幕内最多808勝、通算1000勝など、ことあるごとに記録が話題になったが、目の前の勝負に集中し、記録を意識外に置いてきた。「(1045勝は)全然考えていなかったし、その前に辞めるだろう、体が持たないと思ったけど、何とかここまでこられた」。今回の記録は、過去のそれより、また違った重みがある。

 5月技量審査場所前は体重が9キロ減った。場所後、足腰の神経痛の治療に時間をかけて、体調を回復させた。「今は5キロくらい戻ったと思う」と話した。この日の朝、稽古を再開して四股を踏むと、状態が良くなっていることを実感したという。

 大記録を前に、故郷は落ちついていられない。魁皇後援会はこの日、節目ごとにPV会場を提供してくれる明治屋産業を訪れ、開催の了承を得た。後援会関係者は「3日目の火曜日まで場所を押さえました。それまでに新記録を達成してほしい」と期待する。4日目以降にずれ込むことは、あえて想定しなかった。花火は優勝と同じ10発を打ち上げる予定。直方市、福岡県とも表彰の検討に入った。

 千秋楽の24日は、魁皇の39回目の誕生日。「そこまで、頑張らないと。35歳くらいまでしか、相撲を取れないんじゃないかと思っていた」。千代大海に並ぶ、大関在位最多の65場所目。順当にいけば、祝福だらけの15日間になる。【佐々木一郎】