大関魁皇(38=友綱)が、好角家のデーモン閣下から新たな発奮材料を示された。7日、名古屋市内で行われた名古屋場所(10日初日、愛知県体育館)の前夜祭に出席。39歳の大関が勝ち越せば、昭和以降初の記録になることを教えられた。千秋楽で39歳になる魁皇にとって、千代の富士の1045勝まで、あと1勝に迫った通算最多勝の先にも、偉業が待っている。

 魁皇に、また目指すべき記録が見つかった。大関陣3人とインタビューを受ける中、デーモン閣下から「千秋楽で39歳。昭和以降、39歳で勝ち越した大関は1人もいないんです」と、ハッパを掛けられた。すると会場のCBCホールを埋めた観客から「頑張れ、魁皇!」の声援が飛んだ。

 これを聞いた魁皇は「(記録は)実際、知らないことだらけ。いろんな方に教えてもらって、ここまで(相撲を)取れたのかな。1044勝も勝てるとは、最初は分からなかったんです」と話した。39歳以上の勝ち越しとなると、幕内まで対象を広げても、昭和以降で過去5人だけ。年6場所制となった58年(昭33)以降に限れば、高見山が39歳5カ月で成し遂げた例しかない。

 千代の富士の通算最多勝に王手をかけ、今場所は千代大海を抜いて単独1位となる大関在位65場所目。記録への意識を問われると「周りの人たちに毎日のように言われるもんですから、気にならないと言えば、ウソになる。緊張感もあります」と答えた。勝ち越しで千秋楽を迎えれば、誕生日に、また1つ勲章が加わることになる。

 会の進行役から、大関陣に「今場所への意気込みを」と振られると、把瑠都、日馬富士、琴欧洲は「優勝目指して頑張ります」と声をそろえた。そんな中、魁皇だけは「…。頑張ります」。この日、朝稽古は短時間で切り上げるなど、口ぶりと同じくマイペース。夜には、奈良まで出向き、信頼する治療院で体の状態を整えた。あと2日で、記録ラッシュの幕が開く。【佐々木一郎】