<大相撲名古屋場所>◇12日目◇21日◇愛知県体育館

 大関挑戦中の関脇琴奨菊(27=佐渡ケ嶽)が、鶴竜との関脇対決に完勝して10勝目を挙げた。昇進の目安とされる12勝へあと2勝と迫った。地元の福岡・柳川市ではパレードを計画するなど昇進準備に入った。

 琴奨菊の出足は、この日も止まらなかった。鶴竜に最後はもろ差しを許しながら、体を預けて寄り切り。花道の奥で佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)に「よかったな」と声をかけられ、目尻を下げた。前日11日目に白鵬を撃破し、自信が膨らんだかのようだ。

 琴奨菊

 もろ差しになって危なかったけど、よく前に出られた。うるさい相手だけど、自分の体は重いんだと言い聞かせた。

 今場所ノルマの12勝へ、残り3日間で2勝。これで三役以上との対戦を終えた。あとは格下相手だけ。

 故郷の柳川では、なでしこジャパン以上の盛り上がりを見せている。後援会関係者は「昇進すれば地元でのパレードを考えている」と明かした。あと1勝して12勝に王手ならパブリックビューイングも計画。後援会員や柳川市長が参加するほか、地元紙でも一般参加を呼びかける。

 琴奨菊は「一番終わるごとにホッとして、また緊張して。最近は大変ですよ」と苦笑い。夜に宿舎でマッサージを受け、心身の疲労をほぐす毎日だ。

 帰路に就く途中、中学時代からのライバルの豊ノ島から「おめでとうございます」とぺこぺこ頭を下げられ「やめろよ」と大笑い。昇進の歓迎ムードすら漂う。【大池和幸】