<大相撲名古屋場所>◇13日目◇22日◇愛知県体育館

 大関とりを目指す関脇琴奨菊(27=佐渡ケ嶽)が、崖っぷちに追い込まれた。東前頭4枚目の隠岐の海(25)に小手投げで敗れ、3敗目。大関昇進の目安となる3場所合計33勝へ、残り2日間で1敗もできない状況に追い込まれた。平幕に2敗し、昇進が見送られる可能性も出てきた。

 痛恨の1敗だった。琴奨菊は、得意の左四つになりながら、勝ちきれなかった。寄っていったところを投げられた。支度部屋で報道陣に囲まれると「まあ、力を出し切れたんで。まあ、ええわ」と悔しさを押し殺したが、帰り際には「もったいない、しかし…。もったいね~」と本音も漏らした。

 大関昇進の目安は、直近の3場所合計33勝。残り2日間は、連勝が最低条件になる。仮に負けなくても、15日間の内容が問われる。この日の取組を土俵下で見た三保ケ関審判副部長(元大関増位山)は「相手は平幕だよね?

 今日の1敗は大きい。今日あたり、勝っておかないと。まだ今は、どうのこうのは言えない。内容として、平幕に負けたのはね…。いろんな意見は出てくるだろうね」と話した。

 昇進のための勝利数はあくまで目安。33勝以上しても、見送られたケースもある。横綱に勝った1勝は重いが、平幕に2つ負けた事実も重い。いずれにしても、残り2日、内容を伴って連勝し、審判部の判断を待つことになる。

 負けを引きずらず、気持ちを切り替えられるか。琴奨菊は「大丈夫でしょう。もう2番しかないからね。思い切りいって、勝っても負けてもいい相撲を取っていきたいです」と答えた。14日目は若の里、千秋楽は阿覧が予想される。いずれも平幕で、負ければ即、来場所に持ち越しとなる。

 かねて精神面強化を課題に挙げて、克服してきた。写経に取り組み、動画サイト「YouTube」では格言集などを好んで視聴し、心を強化してきた。支度部屋では、自分の映像を見た後「もうちょっとのところ。大丈夫だ、これくらいなら」と自分に言い聞かせた。今こそ、自分の強さが試される。【佐々木一郎】