日本相撲協会は29日、秋場所(9月11日初日、両国国技館)の新番付を発表した。隆の山(28=鳴戸)、舛ノ山(20=千賀ノ浦)、芳東(34=玉ノ井)の3人が新入幕。チェコ出身の隆の山は1958年(昭33)から年6場所制となって以降、3人目の十両1場所通過となった。八百長問題の影響で5月技量審査場所、7月名古屋場所は幕内、十両とも人数を減らして開催していたが、計70人と初場所以前と同数に戻った。

 わずか2場所前まで幕下だった隆の山が、西前頭15枚目に新入幕を果たした。初土俵から10年で新十両となった名古屋場所は、西十両5枚目で10勝5敗の好成績。新入幕は確実の状況だったが、この日番付を見て「本当にうれしい。言葉にならない。相撲界に入った時から夢だったので」と実感し、声を震わせた。年6場所制で十両1場所通過は、新入幕が91年初場所の大輝煌、08年初場所の市原(清瀬海)に次ぐ3人目の快挙。「考えてもいなかった」と、歴史に名を刻んだことも喜んだ。

 26日の健康診断で体重が98キロを計測し、元小結舞の海以来、14年ぶりに100キロ未満の幕内力士として土俵に上がる。それでも「前に出る相撲を取りたい」と巨漢相手にも、真っ向勝負を心掛けている。一方で師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)は「一瞬の隙をつき相手をほんろうする相撲で、スピードキングになってほしい」と、まずは持ち味の多彩な取り口を磨くことを期待していた。【高田文太】