<大相撲秋場所>◇9日目◇19日◇東京・両国国技館

 関脇稀勢の里(25=鳴戸)が怪力大関に屈した。左四つから把瑠都の下手投げをこらえ反撃。土俵際まで寄ったが、強引な上手投げに転がされた。この日の朝稽古では「かまして押そうかな」と話していたが、四つ相撲で惜敗。3勝15敗だった合口の悪さを覆せず、優勝争いから後退した。「う~ん、どうなんでしょうか…」。悔しさが頭を支配したのか、表情を変えず唇を固く結んだ。

 稀勢の里について審判長の三保ケ関親方(元大関増位山)は「いいところまで攻めたけどね。把瑠都は懐が深い。いい相撲だった」。奇跡の大関昇進が苦しくなった。まだ横綱戦も残すが、全勝して道を開くしかない。先場所も5勝5敗から5連勝と盛り返した。今日10日目は同じく1敗の琴奨菊と激突。もう負けは許されない。切り替えるしかないかと聞かれた和製ホープは「そうですね」と小さくつぶやいた。