大関昇進が確実となった関脇琴奨菊(27=佐渡ケ嶽)の地元・福岡県柳川市では25日、千秋楽のパブリックビューイング(PV)が行われ、金子健次市長(63)は今回の大関昇進を祝い、柳川名物・川下りでの水上パレードを提案した。同市初の市民栄誉賞の授与も決定的で、琴奨菊ゆかりの商品化案も浮上。人口約7万人の小さな街が、4年ぶりの日本人大関誕生にフィーバーした。

 柳川市の観光大使を務める琴奨菊の活躍に、ビッグなプレゼント贈呈プランが浮上した。千秋楽で敗れ優勝には届かなかったが、パブリックビューイングに訪れた金子市長をはじめファンの熱気はとどまることを知らなかった。

 最近、年間約30万人の観光客が訪れる名物川下りでの水上パレードの夢を見たという同市長は「水郷柳川。水上パレードを実現できればいいですね。後援会の人と前向きに検討していきたい」と興奮気味に話した。

 同市長は24日の取組後、琴奨菊から「明日頑張ります」と直接電話をもらったことを明かし「誠実さがある」として、市全体でお祝いの舞台を用意する計画を立てた。

 それだけではない。週明けに本格的な創設準備が進められる同市初の市民栄誉賞は、10月中にも贈呈式が行われる予定だという。市長は「10月中に大関昇進の報告で凱旋(がいせん)されると思うので、その時のセレモニーで渡すことになると思う」と話した。

 大関昇進にちなんだ商品化も現実味を帯びてきた。市長は琴奨菊の得意技「がぶり寄り」にかけて、「『がぶりまんじゅう』なんかいいね」と乗り気だ。07年の同市での大相撲巡業の際、「琴奨菊」という清酒が記念品として造られ販売された実績もあり、大関昇進でさまざまな商品化が加速しそうだ。

 PV会場のテレビで見守った琴奨菊の祖母、粋子さん(78)は「よく頑張ってくれた。夫(一男さん=享年76)も喜んでいると思います」と目を潤ませた。この日、勝てば打ち上げられるはずだった花火7発が上がることはなかったが、4年ぶりとなる日本人大関を輩出した柳川の盛り上がりは最高潮に達した。【菊川光一】