角界屈指のイケメン力士・隠岐の海(26=八角)が俳優デビューすることが27日、分かった。相撲を題材にした映画に出演するもので、すでに日本相撲協会も快諾。故郷・隠岐の島に戻り、力士役で撮影に挑戦する。秋場所は西前頭筆頭で勝ち越すなど、土俵の内外で活躍を始めた。

 隠岐の海が、故郷のために一肌脱ぐことになった。今週中にも、出身地の島根・隠岐の島町に戻る。すでに島内での撮影スケジュールが決まっており、初めてカメラの前で演技をする。関係者によると、力士役として化粧まわしを奉納するシーンに出演するという。

 映画のタイトルはまだ非公表だが、物語は隠岐の島の古典相撲が題材で、家族の絆が描かれる。隠岐諸島から初めて誕生した幕内力士として隠岐の海に白羽の矢が立ち、今回の出演依頼が届いた。日本相撲協会としても、相撲の普及や発展に寄与するとして、ゴーサインを出した。

 隠岐の海は秋場所、自己最高位の西前頭筆頭で8勝7敗と勝ち越し。192センチの長身を生かしたスケールの大きい相撲で、琴欧洲と日馬富士の2大関を倒した。番付運の関係で、新三役昇進は持ち越しの見通しだが、将来の大関候補としての呼び声も高い。

 和風のイケメンとしても知られ、スクリーンデビューするには、うってつけの存在でもある。10月2日には、出雲大社西郷分院でのもちまきに参加することが決まっており、場所後の休みは引っ張りだこになっている。

 八百長問題の影響で、力士のテレビやCM出演などが自粛されたが、今は人気回復のために協会員が一丸となって試行錯誤している段階。相撲映画がヒットすれば、協会にとってもプラスになる。関係者は「地元のためにも、相撲界のためにも頑張ってほしい」と期待している。

 ◆現役力士の映画出演

 初代若乃花は大関時代の56年に、自伝映画「若ノ花物語

 土俵の鬼」で、入幕後の若ノ花を自ら演じた。58年の「土俵物語」には、横綱栃錦、千代の山が出演。第46代横綱朝潮は59年、東宝映画「日本誕生」で、手力男命役を務めた。佐田の山は横綱昇進後の67年、007シリーズ第5作「007は二度死ぬ」で本人役を担当した。