大相撲春場所(3月11日初日、大阪府立体育会館)担当部長の貴乃花親方(39=元横綱)が、吉本興業と強力タッグを結成した。15日、大阪市中央区の同社大阪本部を訪問。落語家桂三枝(68)、伝統河内音頭継承者・河内家菊水丸(49)から「応援4点セット」を提案されるなど、春場所への支援を取り付けた。親方が熱望していた吉本新喜劇への出演も正式決定した。

 さしもの貴乃花親方も、吉本のお笑いパワーにタジタジだった。「生まれて初めてこんな楽しい会見をさせてもらった。さすが吉本さんですね」とうなった。約30分間の会談は、相撲への造詣が深い河内家菊水丸がリードする形で進行。桂三枝がタイミングよく突っ込むなど、何度も爆笑に包まれた。

 その中では菊水丸が「考えてきた」というアイデア3点を披露した。まず「吉本興業より懸賞を出すのはどうでしょう」。そして「2年ぶりに春場所が復活するので、『大相撲春場所さんへ』というのぼりを吉本興業から1本上げては」。さらには大相撲春場所千秋楽で優勝力士に大阪府知事が授与する「知事賞」にひっかけて「吉本賞というのを大阪場所限定で出しては」と続けた。

 「君のギャラから引かれるで」と菊水丸にツッコミを入れた三枝も負けじと「呼び出しの着物に『吉本興業』って入れたらどうや」と着物広告のアイデアを出した。この「応援4点セット」に、貴乃花親方は大拍手。提案を受けた吉本興業の吉野伊佐男会長(69)は「はい、あの~、ほぼ(決まり)」と勢い余って決裁を“了承”した。親方の積極的なPR活動が、財布のひもが固いと有名な吉本興業から、金銭面でも支援を受けることに成功した。

 かねて親方が熱望していた吉本新喜劇への出演もすんなり決定。菊水丸が「走ったり転んだりせなダメですけど…。可能ですか?」と問いかけ、親方は「ハイ、喜んで。自分は四股を踏むのがよろしいかなと思います」と笑顔で応じた。早ければ今月中にも“笑劇デビュー”することになる。

 大正時代の末まで開催された大阪相撲の運営に、吉本興業が携わっていた歴史がある。今年4月に創業100周年を迎える吉本と、相撲界が約90年ぶりにタッグを再結成。その中心となった貴乃花親方は「本当にありがたい」と感激しきり。写真撮影で三枝と「いらっしゃ~い」ポーズを決めるなど、最後までノリノリだった。【大池和幸】<貴乃花担当部長の春場所PR作戦>

 ◆来れ和装客

 女性客増を狙って、和装客はスーツ姿で出迎えるなどの特典プランを披露。その後、4日目に約30人の和装女性の来館が決定。親方がテレビ中継に映る席を用意した。

 ◆被災者を招待

 東日本大震災から1年となる春場所初日の3月11日に、被災者を観戦招待する考えを明かした。

 ◆橋下市長と

 大阪市役所を訪問し、協力要請と初日前日の土俵祭りへの来場を呼びかけた。

 ◆ファン層拡大狙う

 男性向けビジネス雑誌「ゲーテ」に春場所の特集企画を売り込み、ウェブ版での掲載が決まった。

 ◆サッカーにも

 G大阪幹部と会談、試合場でのサポーターへの無料ちゃんこサービスを検討。