<大相撲春場所>◇3日目◇13日◇大阪府立体育会館

 初のアフリカ出身力士となったエジプト人の大砂嵐(おおすなあらし、20=大嶽)が、前相撲で白星デビューを飾った。昨年の高校総体個人16強の福里(18=九重)をすくい投げで転がした。記念の勝利に「エキサイティングでグレート。土俵に立ったきょうが私の力士としての誕生日」と喜んだ。

 イスラム教徒のため、豚肉は食べない。ちゃんこは鶏肉や牛肉が中心。それでも昨年末に入門してから、体重は7キロ増えて145キロになった。1日5回のお祈りは、稽古の合間をぬってこなす。大嶽親方(元十両大竜)は「ゆくゆくは幕で活躍する力士になってほしい。彼が来たことで、部屋もよくなった」と話した。

 まじめな性格で、部屋にもなじんだが、数少ない不安の1つが断食の期間。今年は7月下旬から見込まれ、日中の飲食が禁じられる。名古屋場所の開催期間に重なってしまう。「初めての挑戦になるけど、ハードルを越える自信はある。でも、ちょっとだけ心配」。横綱になる夢を胸に、異例の相撲人生が始まった。

 ◆外国出身力士

 日本相撲協会によると、番付に初めて外国の出身地が載ったのは米国の高見山が最初。大砂嵐のエジプトは、アフリカ大陸初で通算22カ国・地域目。173人目の外国出身力士になる。