<大相撲春場所>◇12日目◇22日◇大阪府立体育会館

 綱とりを目指した大関把瑠都(27=尾上)の挑戦が終わった。大関琴奨菊(28=佐渡ケ嶽)に寄り倒され3敗目を喫した。残り3日間全勝でも12勝。ハイレベルな優勝を求められていたが、優勝戦線から大きく後退した。横綱審議委員会の内規には昇進の条件として「大関で2場所連続優勝かそれに準ずる成績」とありトップから星2つ差をつけられた。

 把瑠都は腰から土俵下に落ちた。その瞬間、綱とりへのチャレンジは振り出しに戻った。床に体を打ちつけた痛みよりも、可能性がついえた痛みが上回った。支度部屋に戻ってまわしをほどく時も、さかんに首を左右に振った。土俵際で粘ったのがせめてもの意地だった。把瑠都は「ダメです」と切り出した。「上手を取りにいった。中途半端。体が動いていない」と途切れがちに振り返った。

 残り3日を全勝しても12勝。最低ラインとされていた13勝には届かない。優勝戦線からも大きく後退する3敗目は、チャレンジの終了を意味する。今場所での横綱昇進がなくなったことについては「負けたという気持ち」としぼり出すしかなかった。横綱審議委員会の鶴田委員長は「把瑠都はなくなった。3敗だろ。もうない。これで出直し。行けそうだと思ったが、しょうがない」と話した。

 場所前からの口ぐせは「一番一番、自分の相撲を取るだけ」だった。だが連敗したここ2日、把瑠都らしさは皆無だった。この日はあっさりもろ差しを許し、前に出る場面さえ作れなかった。「ちょっと硬くなった。終わりが近づきどうしてもいろんなことを考えた。迷いがあった」と重圧があったことを明かした。

 10日目の夜、後援会を中心に横綱昇進後のプランが練られ始めていた。それも1度は頓挫するが、綱とり場所が今後も訪れる可能性は高い。残り3日間は次へ向けての再スタート。1横綱、2大関を破ることで新たな決意を示したい。【高橋悟史】