日本相撲協会は23日、夏場所(5月6日初日、両国国技館)の新番付を発表した。鶴竜(26=井筒)が昇進し、史上初の6大関時代が到来した。

 新大関の鶴竜は、昇進をじわりと実感し始めた。この日、東京・墨田区の井筒部屋での記者会見には50人を超える報道陣が殺到。大関昇進を伝える使者を迎えてから26日が経過し「町中で会ういろんな人に声をかけてもらって、うれしかった。言われると、身が引き締まります」と話した。

 取材も増え、NHKの情報番組への生出演も経験した。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)も「今までは『寺尾の兄貴』だったのが『鶴竜の親方』になった。ニックネームが変わりました」と昇格効果を口にした。一方で「正直、不安ですね。大関という地位は、負け越しができませんからね」との心境も明かした。

 日刊スポーツのウェブサイトで6大関についてアンケートを実施した結果では、「最も実力が横綱に近い大関は?」も「最も横綱に昇進してほしい大関は?」も2位につけた。春場所は13勝2敗で、白鵬との優勝決定戦に持ち込んだ。初優勝こそ逃したが、ネットユーザーからは実力でも人気でも認められた。

 実直な新大関らしく、注目度が上がっても背伸びしない。さらなる昇進に話題が及んでも「自分はまだ大関として相撲を取っていない。まずは今場所勝ち越して、大関に定着して、そっから…」と控えめに言った。新大関場所も、鶴竜らしく土俵に立つ。【佐々木一郎】