<大相撲夏場所>◇10日目◇21日◇東京・両国国技館

 横綱白鵬(28=宮城野)と大関稀勢の里(26=鳴戸)が、無傷の10連勝を決めた。稀勢の里が大関琴欧洲(30)をきめ出しで破ると、白鵬は関脇豪栄道(27)をとったりで退け、マッチレースの様相を呈してきた。

 鬼の形相が戻ってきた。勝負を決めた瞬間、稀勢の里は「どうだ」と言わんばかりの顔で土俵を歩いた。平常心と冷静さを心がける今場所。だが、13勝26敗と大きく負け越す琴欧洲を相手に「性格上、黙ってても出ちゃう」と話していた気迫があふれ出た。割れんばかりの歓声と、しこ名の横断幕が躍る館内を一身に受け止めた。全勝を守り、先場所から続く連勝を自己最多タイの13に伸ばした。

 立ち合いで、相手の左肩が鼻に激突した。一瞬ひるみ、相手の右おっつけに押されかけた。だが、そこで踏みとどまるのが、今の稀勢の里。相対する左でおっつけし返すと、力強く土俵外へ追いやった。鼻血はまるで気にならなかった。日本人大関の無傷の10連勝は04年春場所の千代大海、魁皇以来約9年ぶり。「いいんじゃないですか」と笑いながらも「あと5日ある」と表情を引き締めた。

 約7年4カ月ぶりの国産力士の優勝へ、期待を一身に受ける今場所。だが、重圧も疲れも「全然」という。昨年夏場所から場所中に心がける禁酒は継続し、取組後は外出を控えてる。朝のちゃんこには、必ず目玉焼きを2個注文。マイペースを崩さない。横綱、大関戦が佳境となる12日目からは、名古屋からトレーナーを呼び寄せることも分かった。終盤戦に向けて、力を蓄える。

 10日目を終えて横綱と大関による全勝並走は、昨年名古屋場所の白鵬、日馬富士以来。白鵬が1人横綱となった10年春場所以降は過去2度とも大関が優勝を飾った。追う者の強みか。「必死にやるだけです」。短い言葉に、稀勢の里の思いがこもった。【今村健人】

 ◆横綱と大関のマッチレース

 横綱、大関が初日から10連勝で並ぶのは昨年名古屋場所の横綱白鵬、大関日馬富士以来。同場所では両者14連勝で迎えた千秋楽で直接対決し、日馬富士が勝って全勝優勝。勢いづいて翌秋場所も全勝優勝で横綱昇進を決めた。