<大相撲夏場所>◇13日目◇24日◇東京・両国国技館

 エジプト出身で東幕下7枚目の大砂嵐(21=大嶽)の十両昇進が濃厚となった。十両明瀬山に両上手を引いて寄り切り。7戦全勝で幕下優勝を決めた。夏場所後の番付編成会議で昇進決定なら、アフリカ出身力士として初の関取誕生。所要8場所も外国出身としては小錦、把瑠都と並び最速。

 花道では大嶽部屋所属の世話人・友鵬と抱き合い涙を流した。「夢へのステップアップ。把瑠都関、小錦さんは大関。もっともっと稽古して夢は横綱。大嶽親方(元十両大竜)にもハートを鍛えてもらいました」。一昨年の来日後、日本の文化に慣れず、ホームシックが最大の敵だった。親方、兄弟子らと、友鵬がつくる食事を囲むことで「日本の家族」ができた。イスラム教信仰のため豚肉など食事の制限もある。今ではタマネギ入りのみそ汁が最高の好物だ。

 「今夜はエジプトにも電話します。ピラミッドの化粧まわしをつけるのが一番楽しみ」。今場所から、ほんのわずかのちょんまげも結った。また1人、角界を盛り上げる名物関取が誕生する。【鎌田直秀】

 ◆大砂嵐金太郎(おおすなあらし・きんたろう)本名・アブデラハム・シャーラン。1992年2月10日、エジプト生まれ。12年春場所初土俵。同年夏場所で序ノ口優勝。得意は、突き、押し。家族は両親と弟。189センチ、143キロ。