初場所(12日初日、両国国技館)で綱とりに挑む大関稀勢の里(27=田子ノ浦)が2日、新年初稽古を行い、横綱昇進への自信を示した。昨年末に移転した東京・墨田区の田子ノ浦部屋で、四股やすり足などの基本運動で約3時間汗をかいた。1998年(平10)の3代目若乃花以来となる和製横綱誕生への期待が高まる中、力強い口調で「横綱」との言葉を発した。

 稽古後、稀勢の里は鏡の前で自分の姿を見つめながら、白い稽古まわしを外しタオルを腰に巻いた。身支度を調え、約20人の報道陣の前に歩み寄り「おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」。188センチ、177キロの巨体を丸め、頭を下げた。そして新年の決意を表明した。

 「去年の充実した経験を生かせる年に。また新しく充実した納得できるいい1年にしたい。納得のいく初場所に。場所が終わってそうなれば、横綱とかがついてくる」。稽古始めで堂々の綱取り宣言となった。

 今年のテーマなどを聞かれても「ないです。つまらないでしょ。そういう(言葉に出す)タイプでもないし」と思いは胸に秘めた。その一方でハッキリと口にした「横綱」の2文字に、懸ける思いが伝わってきた。

 昨年末は師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)の年寄名跡変更にともない、急きょ千葉・松戸市から東京・墨田区に引っ越した。それでも「やることは1つ。土俵で頑張ることに変わりはない」と落ち着いている。初のマンション暮らしでテレビの前で横になり、大みそかは大好きなお笑い番組やボクシング中継を楽しんだ。年末年始で唯一の休日だった元日は、部屋の新年会に参加。「何でか分からないけど、今年はあまり正月は感じない。初夢も見ていない」とほほ笑んだ。

 この日は「基本をしっかり」と、相撲は取らずに四股などの基本運動を繰り返した。明日4日からは二所ノ関一門の連合稽古が4日間続く。「関取衆はたくさんいますし、エンジンをかけていきたい」と、夢の成就へ意気込んだ。【鎌田直秀】