白鵬(28=宮城野)の横綱土俵入りの太刀持ちと露払いが春場所(3月9日初日、大阪・ボディメーカーコロシアム)から変更されることが濃厚となった。9日、東京・両国国技館で開催された日本大相撲トーナメントで白鵬が明かした。これまでは同じ伊勢ケ浜一門で友綱部屋の旭天鵬(39)と魁聖(27)が務めてきたが、師匠同士の関係悪化が原因とみられる。

 白鵬が横綱土俵入りで、太刀持ち豊ノ島、露払い臥牙丸を従えた。そうせざるを得なかった。変更理由を「親方同士の問題。直接ではなく付け人から聞いたが、友綱親方が『もう貸さない』と師匠(宮城野親方)に言ってきたようです。春場所もこのままだと思う。仕方ない。やることをやるだけ」と話した。

 原因は1月31日に行われた日本相撲協会理事候補選挙だった。ある力士は「票のこともあったんだろうね」。伊勢ケ浜一門からは友綱親方(元関脇魁輝)と伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が立候補。関係者によると、当選はしたが、宮城野親方(元前頭竹葉山)が伊勢ケ浜親方を推したことに加え、理事などに関する考え方に相違があったようだ。

 旭天鵬は「残念だけど、親方に言われたから。まだ時間があるから解決してくれればいいけれど」。魁聖も「選挙後に言われた。オレはやりたいんだけどね。巡業とかでも横綱と一緒にいると勉強になるから」と困惑した。

 白鵬は1日の元大関雅山(現二子山親方)引退相撲の土俵入り前に聞かされた。友綱部屋を除くと、横綱日馬富士の伊勢ケ浜部屋以外の一門幕内力士はザンバラ髪の遠藤だけで、他一門から出稽古などで交流のある時津風部屋力士をその日から急きょ指名。豊ノ島と、十両陥落濃厚の時天空の代わりに「やりたいと言ってくれたので」と木瀬部屋の臥牙丸を抜てきした。

 角界の慣例として同部屋もしくは同一門が基本。一門に幕内力士がいながら、他の一門が務めることになれば異例の事態となる。

 ◆日本相撲協会理事候補選挙

 定員10人(外部理事除く)に、北の湖理事長(元横綱)ら11人が立候補。1月31日に投開票が行われ、事業部長の九重親方(元横綱千代の富士)が落選。伊勢ケ浜一門全12人の親方衆は事前の話し合いで現職の伊勢ケ浜親方を当選確実な9票で結束させることを決め、元理事の友綱親方は残りの3票と他一門からの票で当選を目指し、7票で当選。宮城野親方も伊勢ケ浜親方に投票したとみられる。