オレが主役だ!

 大相撲春場所(9日初日、大阪・ボディメーカーコロシアム)で自己最高位の東前頭筆頭に出世した遠藤(23=追手風)が3日、大阪市内でトークショーを行った。「荒れる春場所の主役になりたいか」を○×で問われて「○」と回答。「上位と毎日当たると思うので1つでも多く、いい相撲を取って(スポーツ紙の)1面を飾りたい。そのためには主役にならないといけない。最初から負けることは考えていない」と言い切った。

 初めて横綱、大関と総当たりする地位についた。楽しみと不安は「半々」。簡単に主役になれるという甘い考えはみじんもない。だが、初場所でわざと立ち遅れて勝った琴欧洲戦のように、とことんあがく気でいる。「今までの場所より気持ちは楽…というとおかしいが、向かっていける」。

 その挑戦者は日々、吸収している。この日は時津風部屋へ出稽古し、大関鶴竜と1勝16敗。またも力の差は出た。だが、稽古後に相撲解説者の舞の海さんから「当たり負けて下がってもいい。低い姿勢を変えない方が重要」と教わり、目が変わった。「自分でも分かっていて、なおさらそうだと思った。次にもっと意識してやろうという気になった」と力強くうなずいた。

 大阪入り後に昼寝ができたのは1度だけ。多忙で息抜きする間もない。だが「うれしい悲鳴だと思ってやっている」。期待の高さも周囲の声も、すべてを力に変えたとき、荒れる春場所の主役は、この男になる。【今村健人】