目指すは貴乃花の再現!

 大相撲夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)の新番付が24日、発表された。新横綱鶴竜(28=井筒)は東京・墨田区の部屋で会見し、自然体で臨むことを強調した。初日はこれまで通り、横綱としては異例ながら歩いて国技館正面から入場することを明言。スタイルを変えずに、95年初場所の貴乃花以来となる新横綱優勝に挑む。

 上ばかり見ない。下も気にしない。鶴竜の目は、足元だけを見据えていた。新横綱で迎える夏場所。「いきなりは変わらない。今までやってきたことをもっとレベルアップして、精いっぱいやるだけです」。浮ついた言葉は何もなかった。

 新横綱の場所は、何かが違う。それは過去の横綱を見れば一目瞭然。1場所15日制となった49年夏場所以降、新横綱の優勝は大鵬、隆の里、貴乃花の3人しかいない。毎日の土俵入りに加え、3日に1回の結びの一番。何より、負けてはいけない重圧がのしかかる。曙や武蔵丸、朝青龍に白鵬ら先輩の外国出身横綱も一様に洗礼を浴びた。鶴竜も「とにかく負けたらダメ」と責任の重みを感じる。

 だから、自らの「ペース」を貫く。「東京場所はいつも初日だけ、正面から歩いて入っている。今回も変わらないです」。横綱と大関は国技館の地下駐車場を使える。混乱を避ける意味もあり、鶴竜も専属の車を手配した。それでも何かを無理には変えない。初日限定ながら、今まで通り“徒歩通勤”する。横綱としては異例だが、ファンとも触れ合う自然体が鶴竜流。「新横綱と思ってあまり力まないように」。“脱力”で、貴乃花以来の新横綱優勝に挑む。【今村健人】