道産子として13年ぶりの新十両昇進を決めた旭大星(24=友綱、旭川大高出)が30日、故郷・旭川に凱旋(がいせん)した。28日の昇進発表後初帰道で、地元支援者や出身校の後輩らに祝福を受けた。旭川のご当地キャラ「あさっぴー」や旭岳がししゅうされた化粧まわしのデザインも披露。地元愛たっぷりの支援を受け、新十両として名古屋場所(7月13日初日、愛知県体育館)に臨む。

 新しい化粧まわしのデザインを手渡された旭大星が、うれしそうに笑みを浮かべた。「あさっぴー、かわいくていいと思います。僕にうり二つです」。少しおなかの大きい、ゴマフアザラシをかたどったキャラを見て表情は緩んだ。熊本出身の幕内・佐田の海(27=境川)が5月場所で「くまモン」の化粧まわしで登場したことを引き合いに出されると、「負けたくない」と、故郷を背負って立つ意気込みものぞかせた。

 名古屋場所から土俵入りで使う化粧まわしには、地元愛がたっぷり詰まっている。背景には北海道最高峰の旭岳。市花のナナカマド、市章のモチーフとされる北斗七星や、シンボル的存在の旭橋が並ぶ。極め付きが、あさっぴーだ。支援者のまとめ役で、制作の中心になった島田畜産会長の島田安教さん(70)は「旭川市内の名物全部」という。

 家族愛も表現されている。ひときわ大きく輝く8個目の大きな星は、旭大星が中2の時にがんで亡くなった母真由美さん(享年36)を意味している。旭大星はこの日午前9時半過ぎに旭川空港に降り立つと、真っ先に母の眠る市内のお寺に向かった。「母ちゃん、帰ったでえ」と声をかけ、両手を合わせ『関取になって帰ってきましたよ』と心の中で報告した。母も描かれた化粧まわしは約120万円。「旭川、北海道の星になって、恩返しします」と、力強く話した。

 十両昇進決定後初の帰道で、地元支援者を訪問、父浩さん(49)の務める自衛隊駐屯地、出身の旭川大高などを急ぎ足で駆け抜けた。今日31日も、旭川市長への表敬訪問など行事はめじろ押し。あいさつ中に新たな訪問先が増えると「遊ぶ時間が減ってしまう~。これはオフレコで」と、ちょっぴりおどけた。その名の通り地元の大きな星となり、日本全国を沸かしてくれる。【中島洋尚】