大相撲名古屋場所を12勝3敗で終え、大関昇進を確実にした関脇豪栄道(28=境川)が千秋楽から一夜明けた28日、愛知・扶桑町の境川部屋で会見した。目指す大関像に「心の強さ」を挙げ、精神面のさらなる強化を誓った。

 なごやかムードで進んだ会見で、豪栄道の顔が一瞬引き締まった。目指すべき大関像を問われると、その地位の重みを感じたように、ゆっくりと口を開いた。

 「やっぱり、ここ一番で自分の相撲で相手をねじ伏せるような心の強い力士が大関。それを目指したい」

 最近は事あるたびに「今年中に大関になります」と宣言してきた。「去年までは、はぐらかしていた。自分に自信がなかった部分。口に出すことで、自分へのプレッシャーになるし、言うようにした」。同じように強気発言を繰り返し、世界レベルに成り上がったのがサッカー日本代表の本田圭佑(28)。以前、豪栄道は「本田は同じ年で同じ大阪生まれ」と、同世代アスリートの中で真っ先に名前を挙げていた。本田に負けじと、大関になっても有言実行で心を磨き上げる。

 明日30日の伝達式の口上は「シンプルにしたい」と話した。少年時代に憧れた貴乃花親方(元横綱)は大関昇進時に「不撓不屈(ふとうふくつ)」と口にしたが、豪栄道は「そんな柄じゃないんで。かまないように」と、簡潔な言葉で決意を示すつもり。12日目に痛めた左膝は半月板損傷の疑いがあることが判明したが、伝達式では床に座って応じる。土俵外でも自分らしさを貫く。【木村有三】