<大相撲秋場所>◇2日目◇15日◇東京・両国国技館

 横綱白鵬(29=宮城野)が、西前頭筆頭の遠藤(23)をはたき込んだ。今場所前に出稽古先で胸を出すなど、若手ホープへの期待を込めて「まずは自分の型をつくれ」とダメ出し。2日続けてはたき込みで倒れる遠藤との力の差を見せつけ、注文を付けた。大関稀勢の里が敗れ、三役以上の連勝は鶴竜、日馬富士を含む3横綱だけとなった。

 白鵬に取組後の疲労感はなし。入門後すぐから目をかけ、胸を出し、助言してきた遠藤への思いを発した。「いろいろなことを考えてやっているのを認めたいとは思うけど、まだ自分の型が出来ていない。それなのにいろいろやっちゃいけないよね。まずは型をつくってから」。突き押しも、左四つも、引き技もこなすゆえ、器用貧乏になりかねない現況を不安視した。

 3度目の対戦となった土俵上では、体で教えた。立ち合いで遠藤にしっかり当てさせた。胸で難なく受け止めた。突き放そうともがいた遠藤が懐にもぐり込もうと頭を下げた時、上から押さえつけた。「大銀杏(おおいちょう)じゃないからね。かかるものがないから、逆に滑ったりする」と、瞬時に手を首根っこに移動。それだけ余裕があったはたき込み。「組んで良し、離れて良しだから」。自分はそれでいいが、遠藤はまだその域ではない。金星を期待する遠藤ファンにも、横綱と新三役に挑む若手の違いを再認識させた。

 遠藤は「負けたら意味がない」と悔しがった。今のままではダメなことも分かっている。今場所、東京場所前では初の出稽古。上位力士との稽古を追手風親方(元前頭大翔山)と考え、実行した。豪栄道の胸を借りる予定もあった。その向上心を評価しているからこその、横綱からの忠告だった。

 白鵬は次世代の育成も力を入れ始めている。7日に宮城野部屋を訪れた千代大龍の心意気も喜んだ。初日前日の13日には宮城野部屋全員を近くの高級焼き肉店「叙々苑」に招待し、決起集会。ケガに悩む幕下の大喜鵬から新弟子までに声をかけ激励した。今日3日目に初対戦となる照ノ富士戦へも「いい相撲取りたいね」と楽しみに笑った。【鎌田直秀】