元横綱輪島の黄金のまわしがよみがえる。日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で九州場所(11月9日、福岡国際センター)の番付編成会議を開き、輪島氏の遠縁にあたる達改め輝(かがやき、20=高田川)ら4人が新十両に昇進した。改名にあたって下の名前も、輪島大士(ひろし)氏からもらい「大士」(たいし)と命名。九州場所で黄金まわしを締めることも決まった。また、再十両は2人。

 元横綱の血が動きだす。「金の卵」として入門時から期待された達改め輝は、20歳での新十両にも「長く感じた」と言ってのけた。好きな言葉は「正々堂々」。「立ち合いの変化とか逃げの相撲は絶対に取らない。前へ前へ相撲を取りたい」と大物感を漂わせた。

 輪島氏と同じ石川・七尾市に生まれた。中学3年のとき、父一幸さんから「そういえば…」と突然、輪島氏が父方の遠縁にあたることを聞かされた。今場所前も激励された。そしてつかんだ関取の座。師匠の高田川親方(元関脇安芸乃島)は「輪島さんと同じ、渋い黄金のまわしで関取デビューさせます」と明かした。

 新しこ名にも、輪島氏と故郷の思いが込められた。来年3月に延伸開業する北陸新幹線で、東京-金沢間を最速で結ぶのが「かがやき」。そこに輪島氏の名前をつけて「輝大士」とした。輪島氏は「ひろし」だが、高田川親方は「ずっと『たいし』だと思っていた。輪島さんに『たいしをいただきたい』とお願いしたら、親指でOKしたんです。おかしいな」と苦笑い。ただ、輝は「自分自身すごく気に入っている名前。負けないように頑張ります」。

 逸ノ城ら外国人力士が台頭する角界。和製大器は「早く上がって、早く倒したい」と力強かった。【今村健人】