スターVSモンスターの初対決は、逸ノ城に軍配が上がった!

 日本最古の大相撲トーナメントである第73回全日本力士選士権大会が6日、東京・両国国技館で行われた。秋場所に新入幕ながら優勝争いをした逸ノ城(21=湊)が、1回戦で人気力士の遠藤(23=追手風)と対戦。本場所、稽古を含めても初顔合わせとなったが、もぐり込もうとする相手を封じ、右四つに組み止めると、左上手も引いて難なく寄り切った。

 秋場所後「対戦したいのは遠藤関。有名人なので。強いイメージがあって、自分の力を試してみたい」と心待ちにしていた一番だった。だが、取組後に遠藤の印象を報道陣に問われると「普通に(勝った)。特に何も…」。花相撲とはいえ、思った以上の圧勝に拍子抜けした様子だった。

 土俵入りや取組中は声援の数でも上回った。場所後もテレビ出演やイベント参加など大忙し。久しぶりの休日だった前日5日を「アホみたいに寝た」と振り返りながら笑った。深夜0時に床に就き、目覚めたのは正午。「夜中の12時かと思って、もう1度寝て午後2時半。自分でもビックリ」。14時間半睡眠で疲労も回復。モンゴルの遊牧民出身の怪物が、スターの座も一気に奪いつつある。

 2回戦では、秋場所で負けた勢にもリベンジ成功。「投げは絶対にしないように。力入った」と連敗しない学習能力の高さも示して、3位になった。この日から朝稽古を再開し、10日には巡業も開始。「稽古して頑張りたい」。まげも結う予定の九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)の主役は間違いなく、この男だ。【鎌田直秀】