大相撲秋場所で史上2位に並ぶ31度目優勝を飾った横綱白鵬(29=宮城野)が27日、天国の恩人へ偉業達成を誓った。九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)の新番付が発表され、福岡で会見。「日本の父」と慕っていた大鵬に並ぶ歴代最多32度目Vへ「今年中にしたい」と決意表明。今年最後の場所での大記録成就へ強い意欲を示した。

 偉業を目前にして、足踏みするわけにはいかない。歴代最多32度目優勝へ、白鵬は「できれば今年中に、という思いはある。九州の皆さんの目の前で賜杯を抱いて、大鵬関の記録に並べればいいなと思います」と力を込めた。

 いよいよ、気持ちが高まってきた。秋場所で千代の富士に並ぶ歴代2位の31度目の優勝を成し遂げたが、次なる大記録への気持ちを問われても言葉を閉ざしていた。だが、この日は、はっきりと「思い」を口にした。そして、昨年1月に亡くなった元大鵬の納谷幸喜さんとの思い出も語り始めた。

 「『記録は破られるためにある。精進して、できるものなら超えてもらいたい』と、そう言って応援していただいたのでね。(32度目優勝は)ある意味、約束かな」。“日本の父”と慕っていた恩人に並ぶ大記録へ、心の準備も整った。

 場所を選ばず強い横綱だが、中でも九州場所は07年から6連覇も果たすなど他を圧倒してきた。「寒くなる季節に強くなるのが、昨日分かった。食べ物もおいしくなる。それが相撲に生きてくるのかな」。最強の男に、不安材料は見当たらない。【木村有三】