大相撲の新関脇逸ノ城(21=湊)が当面、出稽古を取りやめることにした。福岡・古賀市の部屋で29日、三段目以下の若い衆と約2週間ぶりに相撲を取った。だが、帯状疱疹(ほうしん)を患って約1週間入院していたことから、すぐに息が切れて体も動かない。31日から出稽古の予定だったが、今すぐの関取衆との稽古を断念し、部屋で調子を取り戻すことに専念する。

 もう、立っていられなかった。「しんどいっす。体もなまって、入院する前と違って全然、反応も当たりも悪くなった」。そのひと言目を話し終えると、逸ノ城はドカッと土俵脇に座った。息はすぐに切れて、体は「超重い」。そんきょで足が震えた。稽古後はへとへと。ブランクは、思っていた以上に大きかった。

 帯状疱疹で約1週間入院してから、初めて相撲を取った。三段目以下と計48番。40分近く相手になった。はた目には元気に映る。だが、当人の感覚は違った。「みんなに負けそうになったんで、本気で行きました。いなされたら全然、膝が使えない」。いっぱいいっぱいだった。

 稽古後、師匠の湊親方(元前頭湊富士)に「前の調子に戻れるよう、部屋でちょっとやりたいです」と申し出た。31日から予定していた出稽古の回避だった。入院中は1回2~3時間かける点滴を、1日3回も受けてきた。運動は何もしていない。199キロの重みがある分、取り戻す筋量も多い。「怪物」ゆえの、回復の遅れなのかもしれない。ただ、親方は「10日ぐらいあれば治る。四股、すり足、腰下ろし、腕立てを重点的にやらせる。体が大きいので1つ1つが効きますから」。逸ノ城も「1週間やれば前の調子に戻る」と心配せず、調子が戻れば出稽古する可能性も示した。

 最初に吐いた弱音も、回復とともに変化が。「(92センチの)太ももがデカイから、反応がおかしいんですかね」「点滴の水が体に入っていて…。たぶん、汗を流して、それを出せば良いと思う」。最後には笑いが交じっていた。【今村健人】