一番の敵は自分自身!?

 大相撲の関脇逸ノ城(21=湊)が16日、出稽古を行い、時津風部屋の関取衆らと22番の申し合いで21勝を挙げた。課題の立ち合いの改善へ手応えをつかんだ一方、気になるのは体重の増加。師匠の湊親方(元前頭湊富士)からも「太りすぎ」と注意を受けた。来年の初場所(1月11日初日、両国国技館)に向け“甘い誘惑”とも戦わなければならない。

 逸ノ城の最大の敵は、心の中にいた。十両の時天空、双大竜らとの22番で、土がついたのは1度だけ。課題の立ち合いでも双大竜の変化に危なげなく対応。時津風親方からは「強いよ。背も高いし、腕も長いし、力強い」と絶賛された。ところが、ぶつかり稽古になると体が動かない。時天空にかわいがられ、体中砂まみれになりながら「今日は体がメチャクチャ重かった」と漏らした。

 それもそのはず、現在の公式体重は199キロも「今までで一番重い。200キロは超えていると思う」。部屋の体重計に乗ることも避け「量ったら怖いんで、量らないようにしてます」と苦笑いした。その理由は、間食の甘~い誘惑だった。

 午後6時のちゃんこでは、ご飯は2杯まで。ダイエットも意識しているが、就寝時間の同9~10時になると空腹に襲われる。大の甘党という怪物は「甘い物とか見ると我慢できないですよ!

 ショートケーキや、クリーム入りのパンを3個ぐらい。今日はいいや、明日から我慢すれば…」。そんな甘~い考えが1年も続き、今年1月の初場所前(179・1キロ)から20キロ以上も増えてしまった。

 理想の体重は185~190キロ。湊親方は「体重(の重さ)より、動きが速い方が脅威。突き放してすぐ付いて行く速さがあれば、相手は何もできない。(食べた)それ以上に稽古してくれれば」と減量を願う。そんな師匠の思いに、逸ノ城も「毎日でも続けていきたい」。ここは食への“胃”欲か、勝利への意欲か。怪物は心にすむ大敵と向き合う。【桑原亮】