昨年1月19日に亡くなった元横綱大鵬の納谷幸喜氏(享年72)をしのび、「大鵬三回忌法要」が20日、都内で営まれた。日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)、大嶽親方(元十両大竜)、孫弟子の大砂嵐ら約120人が出席。芳子夫人(67)は「まだ、ついこの間のような感じ。隣にいて『オイ、オイ』言われている気がする」と思いを明かした。

 今年は生前に献血運搬車「大鵬号」を寄贈してきた活動が復活。大鵬直伝ちゃんこ鍋スープも新発売された。生まれ故郷のロシア・サハリン州ポロナイスク市にも大鵬像が建立。大鵬部屋(現大嶽部屋)や自宅のある東京・江東区の深川江戸資料館には「大鵬コーナー」が新設されるなど、功績はたたえられている。

 さらに来春、67年夏場所の25度目優勝時の優勝額を同区深川北スポーツセンターに設置し、除幕式を行うことも、この日までに決まった。同額は日光市在住だった当時の後援会副会長(故人)に寄贈されたもので、先月まで同市が譲り受けて所有、管理していた。だが、設置していた体育施設の解体が決まり、副会長の遺族の了解を得てオークションに出品されていた。優勝額の価値や輸送費も高いこともあって、値がつかなかったため、芳子夫人らは譲渡を願っていた。

 歴代最多32個の優勝額はすべて後援者などに寄贈してしまっており、大鵬さんの遺族のもとには残っていない。芳子夫人も「江東区に優勝額がなかったので、戻ってきたことがうれしい。自宅、相撲部屋、お墓の近くですし、地元の皆さんに見ていただきたい」と喜んだ。

 16日には九州場所で大鵬に並ぶ歴代1位32回優勝を決めた横綱白鵬が、墓参りに訪れ、一緒に優勝報告をした。「横綱らしく、普通の生活もそうだし、勝ち負けだけじゃだめよ、と大鵬親方の気持ちを伝えました」。記録を超えようとしていく白鵬の、さらなる成長も願っていた。【鎌田直秀】