大相撲の横綱白鵬(29=宮城野)が初場所後の一夜明け会見で審判部の勝負判定などを批判した問題を、ほかの力士はどう感じたのか。テレビ番組で騒動について「おわびしたい」と頭を下げたものの、批判問題に言及したのはこの1度きり。発言の真意などには今も触れていない。2日で発言から1週間が過ぎた。現役力士たちの意見も、賛否両論に分かれた。

 この日、健康診断に訪れた幕内旭天鵬は横綱を気遣った。同じモンゴル出身。千秋楽では途中まで、一緒に食事もしていたという。「悪気はなかったと思う。横綱は相当、お酒を飲んでいた。日本語は難しいところがあって、そういったつもりで言っていなくても、悪く取られることもある。悪い意味で言ったんじゃないと思うんだけどなぁ」。

 横綱は、600人余りの全力士の模範となるべき立場。それだけに関取の1人は「上に立つ者だからこそ潔く謝ってほしかった」と、番組内での簡易的な謝罪を残念がった。別の関取は「審判の決定は絶対。物言いがつく相撲を取る方が悪いと教わってきた」と、公の場で審判部を批判したことに驚きを隠せなかった。

 初場所13日目の取り直しの一番の相手だった大関稀勢の里は先月末、微妙な勝負のあやについては言及を避けた。その上で「自分は15歳の入門から一生懸命、相撲を取るだけ」と話していた。大関豪栄道もこの日「僕らは何も話すことはない」と言葉を濁した。現場の反応はさまざまだった。

 白鵬は前夜に主催した少年相撲大会「白鵬杯」の打ち上げもあり部屋で休養。この日の健康診断には訪れなかった。強引な幕引きは図られた。もう残されたのは横綱自身がこの問題にどう向き合っているのか。それだけとなった。【今村健人】