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朝青龍吹っ飛ばされた/初場所

- 朝青龍(手前)は稀勢の里に送り倒しで敗れる
<大相撲初場所>◇2日目◇14日◇東京・両国国技館
最強横綱が、ぶざまに吹っ飛ばされた。横綱朝青龍(27=高砂)が惨敗した。東前頭筆頭稀勢の里(21)に突き上げられ、まわしを引けないまま土俵下まで落とされた。2場所出場停止からの復帰2日目にして、昨年名古屋場所初日以来190日ぶりの黒星。負けて怒りをあらわにしていた「暴れん坊」の姿はなく、「今日は負けですよ」と殊勝だった。朝青龍のほか3大関も敗れ、横綱大関陣の全勝は早くも白鵬(22)と琴光喜(31)だけになった。
惨めな姿だった。初日に復活劇で盛り上げた国技館を、朝青龍は一夜にして逆の姿でわかせた。座布団が乱れ飛ぶ花道、肩を落として引き揚げた。座布団を蹴り上げたり、奇声を発したかつての姿はない。ぼうぜんと歩くだけだった。
衝撃的な負けっぷりだ。中に入って速攻勝負の狙いは、稀勢の里の突き、押しに阻まれた。甘くなった両脇からもろ差しを許し、捨て身の首投げに失敗。半身にされて相手に背を向け、最後は土俵下までたたき落とされた。右眉の上は真っ赤。屈辱的な顔だった。
稀勢の里には、06年秋場所に真っ向勝負で敗れた。翌九州場所以降、けたぐりやダメ押し、ひざ蹴りを見舞うなど「因縁の相手」だ。この日も、仕切りでは激しくにらみ合った。復帰早々にめぐってきた難敵との顔合わせ。高まった気合は空回りした。
敗北後は、態度も一転した。「まあ、今日は負けですよ」。支度部屋では、ため息とともに素直に完敗を認めた。2場所のブランクは否定できず、敗因を「相撲経験(相撲勘)」と分析した。「実戦経験? そういうのはあると思います」。丁寧な言葉遣いでつぶやいた。屈辱の敗戦VTRを見ても、首をひねるだけ。支度部屋では声を荒げることなく、淡々とした。
これまで敗戦時に何度か「品格」を問われる行動があったのとは対照的。前日にカメラマンを「おら、どけよ」などと威嚇したすごみは消えていた。
175日ぶりの土俵で復活した前夜。高砂親方(元大関朝潮)とすしをつまみ、ささやかな祝杯を挙げた。問題視された師匠との関係改善に努めていた。その席で同親方から「1つ勝ったくらいでホッとしていていけない」と、くぎを刺されたばかりだった。
「優等生」だった敗者は風呂から出ると、モンゴル語で「ちくしょう」を意味する言葉をつぶやいた。無意識に舌打ちが入るなど、時おり「暴れん坊」の姿はのぞく。「明日は明日。気持ち切り替えて、やりますよ」。入門10年目で史上9位タイとなる横綱在位30場所目。強さと「ヒールな横綱」の姿を取り戻せるか。【近間康隆】
[2008年1月15日9時8分 紙面から]
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