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朝青龍の懸賞たったの2本/初場所
- わずか2本の懸賞金を複雑な表情で見詰める朝青龍(撮影・下田雄一)
<大相撲初場所>◇5日目◇17日◇東京・両国国技館
横綱なのに懸賞がたったの2本―。朝青龍(27=高砂)の懸賞が激減した。豊ノ島に土俵際まで追い詰められながら、逆転の上手投げで4勝目を飾ったが、つかんだ懸賞は薄っぺらだった。スポンサー側は危なっかしい言動、土俵上での態度を警戒。かつては常に2ケタの懸賞をかけられた最強横綱が、信用を取り戻すには実力、品格抜群を示しての優勝しかない。横綱白鵬(22)が全勝を守り、単独トップに立った。
手刀を切り、いつものように懸賞を右手でわしづかみにした。だが、朝青龍の手のひらには大きな空洞ができていた。16秒2の熱戦を制した後での懸賞は2本のみ。3日目の時天空戦に続き、横綱昇進後、またも最少の懸賞本数となった。朝青龍もしこを踏みながら、たった2本の懸賞旗をいぶかしげに見詰めていた。
場所は朝青龍の復帰で盛り上がっている。この日も朝青龍が、身長169センチの豊ノ島に突っ張りをかわされ、もろ差しを許す大苦戦に場内のボルテージはさらに上がった。最後は逆転の右上手投げが決まったが、豊ノ島が前に倒れた直後に落ちる薄氷の勝利。「先に(豊ノ島が)落ちたのは分かったけど、ヒヤッとしたよ」と話し、懸賞を受け取る前も左右に首を振り、苦笑いを浮かべた。
注目度は他を圧倒するが、懸賞を出す側の見方は違っていた。朝青龍戦にかけられた懸賞は、初日、2日目こそ2ケタだったが、3日目2本、4日目5本、5日目2本。名古屋場所から2横綱となり、結び指定の懸賞を得られなくなった影響もあるが、それにしても目に見える激減ぶりだ。
理由は朝青龍への不信感だった。日本相撲協会と企業とをつなぐ大手広告代理店の担当者は言う。「大相撲を応援するスポンサーは変わらず多いのですが、朝青龍に関しては『また、何をしでかすか分からない』という警戒心があります」。
事実、場所ごとに約250本の懸賞を用意する永谷園は、取組前日に懸賞をかける一番を決めているが、今場所は朝青龍戦には0本。名古屋場所まで白鵬と朝青龍に15日間の指定懸賞をかけていたタマホームは、出場停止の秋場所から、朝青龍の分を琴光喜に回し、今場所もそれを維持している。この現象に日本相撲協会関係者も「信用を失っているということでしょう」と納得している状況だ。
一方で朝青龍には希望も残されている。広告代理店担当者は「今場所で復活優勝を飾り、新たな問題を起こさなければ、場所後に久しくなかったテレビCMのオファーも届く可能性はあります。善きにつけあしきにつけ朝青龍の知名度は、この数カ月で爆発的にアップしましたから」と話す。スポンサーにとって、絶大な人気と知名度は魅力。朝青龍は自らの手で結果を残し、信用を回復するしかない。【柳田通斉】
[2008年1月18日9時13分 紙面から]
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