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朝青龍泣き入った、白鵬に力負け/初場所

朝青龍(左)は白鵬に上手投げで1回転して敗れる(撮影・下田雄一)
朝青龍(左)は白鵬に上手投げで1回転して敗れる(撮影・下田雄一)

<大相撲初場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

 横綱朝青龍(27=高砂)が、涙ぐみ、黙り込み、負けを認め、怒った。5年4カ月ぶりの横綱同士の千秋楽相星決戦で、横綱白鵬に上手投げでの力負け。2場所出場停止処分後の復帰場所で、周囲にも必勝を誓っていたが、「最強」の称号は取り戻せなかった。横綱に昇進した03年春場所以降、3場所連続で優勝できなったのは初めて。自身の独走時代が終わったことを悟ったヒール横綱は、早くも春場所でリベンジを誓った。

 座布団が飛び交う中、朝青龍の目が充血していた。土俵上でつり上がっていたマユは下がり、「ハ」の字になった。47秒の激闘で復活優勝を果たせなかった現実。それをすぐには受け止められず、支度部屋の風呂で25分間を過ごした。

 体と髪をぬらして座敷に座ると、沈黙を続けた。「3場所ぶりの横綱対決は?」と問われても、言葉を発せず、白鵬の表彰式の様子を伝えるテレビをじっと見つめた。そして5分がたち、テレビから「朝青龍は何もコメントしません」との速報アナウンスが耳に入ると、その途端に口に開いた。

 朝青龍 まあ、お疲れさまでした。やることはやった。まあ、さっぱりだ。四つに組んで力を出し切れなかったのは自分の力がもう一つということだ。まあ、悔いはありませんよ。力勝負なんだから。

 角界で誰よりもプライドの高い男が、力不足を初めて認めた瞬間だった。

 言葉通りの力負けだった。立ち合いで白鵬に、張り差しをくらった。自分が格下相手に連発していた立ち合いをライバルに繰り出され、面食らった。自分の形ではない右四つにされ、得意の巻き替えも封じられ、胸を合わせた。それでも相手のつり寄りに耐え、逆につり出しにいった。だが、白鵬の下半身は崩せない。次第に握力がなくなり、頼みの左上手が離れた瞬間、体が宙に浮いていた。

 沈黙を破った後、「13勝2敗という結果をどう思うか」と問われると、再び口を閉ざした。2場所出場停止という厳罰を受け、解離性障害でモンゴルに帰国。病状が良くなった時から、初場所での復活優勝をイメージし続けた。昨年11月30日の謝罪会見で「自分は相撲が大好きだから戻ってきた」と言った。

 けいこを重ね、年が明けると32回優勝記録を持つ納谷幸喜氏(元横綱大鵬)の元を訪ね「処分を受けても、相撲をやめるつもりはありませんでした。やめるなら、もうとっくにやめています」と胸の内を明かしていた。場所中には、高砂部屋に宿泊していた新弟子希望者に「千秋楽までいろよ。おれの優勝の瞬間を見せてやるから」と告げていた。だからこそ優勝以外の結果では、満足できるはずはなかった。

 春場所に向けては「絶対に勝ちたいと思う」と言った。一方で「今、どーのこーの言われても何も考えられないんだ。一番一番に集中しているんだから」と吐き捨てた。品格には欠けるが、力量はあると認められてきた横綱が、受けた屈辱。春場所も「西横綱」から白鵬に挑む。【柳田通斉】

[2008年1月28日9時25分 紙面から]

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