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20世紀 有終の祭典 支える人々 アディダス商品開発担当チロ・フスコ氏
ソープの水着、試作品100着

 競泳のイアン・ソープ(オーストラリア)、陸上短距離のアト・ボルドン(トリニダードトバゴ)ドノバン・ベーリー(カナダ)――。世界の五輪メダル候補を、ウエアやシューズの面から支えているビジネスマンがいる。米国在住のイタリア人、チロ・フスコ氏(38)はアディダス社の商品開発担当の1人として、世界中を飛び回る毎日を送っている。

 主な仕事は、選手と科学者、技術者の橋渡し。競技や国籍の区別なく、自社製品を愛用してくれる選手には、どこでも会いに行き、相談に乗る。この仕事で最も楽しいことは「自分が考えている理論をすごい選手で試せること、そして科学のエキスパートに会えること」。名刺は常に500枚以上を束で持ち歩き、ビジネスチャンスをうかがっている。

 世界の水泳界が注目するソープの水着の開発も、担当した。テストや話し合いを続け、全身スーツ型水着が出来上がった。試作品は100着を超えた。「彼の能力を引き出せてうれしい。シドニー五輪ではきっと、世界新記録をつくるよ」。送り出す製品には絶対の自信を持っている。

 もともと、自分も陸上の一流選手だった。1983年のイタリアの大学選手権では走り幅跳びで7メートル21を記録し、優勝した。加えて、だれでもすぐに仲良くなれる明るい人柄も。選手側、技術者側、両方の事情が分かるからこそ、どこへ行っても信頼される。悩みは忙しすぎて、妻となかなか会えないことだという。

 すでにシドニー五輪用の製品は完成、9月の本番に向けてマスコミ用の資料を用意し始めている。「大会中は、他社の製品も見てみたいね」とハイテク競争に意欲を見せる。「選手たちの能力を超えるものはつくれない。ただ、持っている力はできるだけ引き出したい」が基本理念。「シドニー後? アテネに向けて準備を始めるつもりです」。裏方たちの戦いも、休息はない。【五輪取材班】

 ◆チロ・フスコ 1962年イタリア・ナポリ生まれ。大学時代までは陸上の選手。現在は米オレゴン州に住み、アディダスの商品開発を担当。家族は米国人の妻と1女1男。好きな選手はロベルト・バッジオ(インテル)。

(2000年5月24日付)

 

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