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20世紀 有終の祭典 支える人々 ソフトボール用具担当ミズノ 円増朋子さん
グラブ突き返されたことも

 ソフトボール日本代表の主砲、宇津木麗華(36=日立高崎)が今月20日、新しいグラブを手にした。「手を入れた瞬間、これは使えるな、というのが分かる。注文通りできてますよ」。五輪まで4カ月足らずだが「NO・1」と刺しゅうされた特注グラブをなじませるのに、さほど時間はかからないという。

 届けたのは、ミズノ社の円増(えんそう)朋子さん(27)。グラブをはじめ、全日本チームの用具すべてを準備している。昨年4月から、合宿、遠征にも欠かさず帯同するようになった。「採寸から、発注、納品まで担当です。ソフトボールは用具が多いので大変ですね」と忙しくグラウンド内外を走り回る。

 選手からはさまざまな注文を受ける。守備の名手・安藤美佐子(29=デンソー)からは「グラブのポケットを少し右にずらしてほしい」と要求された。ミリ単位の微妙な調整も日常茶飯事。選手の希望に沿えず、グラブを突き返されたこともある。実際に製作を担当する職人と選手のパイプ役として、神経を使う仕事だ。「でも充実してますよ。好きですから」。スポーツ用品に囲まれていることが幸せだという。海外に行っても、まず探すのは大型スポーツ店。「女性なのに変ですかね」(笑い)。

 自身もソフトボールのエリートコースを歩んできた。兵庫の名門・夙川学院に入学した際「日本一のクラブで自分を試したい」とソフトに挑戦。もともと肩が強かったこともあって、3年時には左翼のレギュラーを獲得した。高校総体優勝、全日本ジュニア代表など輝かしい経歴を誇る。

 野球販促部の上司である長瀬良幸さんは「選手時代と180度違う環境で、よく頑張ってます。選手からもかわいがられてますね」と仕事ぶりを評価する。長瀬さん自身、アトランタ五輪ではチームに帯同した。仕事とはいえ、気持ちはチームと同じ。「勝利は何ものにも替え難い喜びですよ」と話す。

 7月は日本代表ユニホームの発表がある。デザイン以外にもさまざまな工夫があるという。円増さんは「自分が携わったユニホームが五輪で見られるなんて、うれしいですよ」と本番に思いをはせた。「でもその前に、寸法が合ってなかったら袋だたきですね」。入社3年目。最終目標である「グラブ作りの職人」へ向け、全力投球の日々だ。【五輪取材班】

 ◆円増朋子(えんそう・ともこ) 1972年(昭47)11月19日、兵庫県篠山市生まれ。中学まで陸上・中距離の選手。夙川学院でソフトボールを始め、在学中は高校総体3連覇。日体大へ進学。京都・西山高の非常勤講師を経て、98年(平10)ミズノ入社。野球販促部勤務。

(2000年5月27日付)

 

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