|
|
|
|
|
支える人々 日本体育・学校健康センター逸見博昌理事長
1964年(昭39)東京五輪のメーン会場として知られ、日本スポーツ界の主要イベントが行われる国立競技場(東京都新宿区)。その西側の2階には、秩父宮記念スポーツ博物館がある。日本選手が初めて獲得した五輪のメダルや、戦前の運動着など、日本が五輪に参加してきた歴史を知る上で、貴重な資料が展示されている。「素晴らしい展示物がたくさんあるんですけど、あんまり皆さんに知られていないのが悩みなんです」。博物館を運営している日本体育・学校健康センターの逸見博昌理事長(67)は、年間約7000人の入場者数を増やすことを課題に挙げた。 東京五輪直後は、1日1万人もの来館者があった。「東京五輪が行われた競技場を見てみたい」「博物館を見学したい」という人たちが乗った観光バスが、全国から何十台も押し寄せた。しかし、現在の博物館内は、ひっそりと静まり返っている時間が長い。「昔は中高校生が修学旅行でたくさん訪れたけど、今は数人のグループが時々訪れるだけ。PRの方法を考えないといけません」(同理事長)。今年4月20日、博物館の近くに都営地下鉄の国立競技場駅ができた。9月のシドニー五輪に向けての盛り上がりを伝えるためにも、駅のホームや通路にスポーツ写真などの展示物を並べ、同時に博物館の存在もアピールするというプランが考えられている。 館内のスペースが狭く、展示できない資料もたくさんある。予算面に限りがあり、棚や収納ケースを大量に購入するわけにもいかない。資料の素材は紙、布、金属、絵画、彫刻などさまざまで、管理のために神経をすり減らすことも多い。打開策として期待されているのが、国立競技場の改築だ。58年3月の完成以来、42年が過ぎた。鉄筋建築物の寿命は60年といわれ、2018年までには国立競技場は新しく生まれ変わる。同時に博物館も拡張され、最新の展示設備や管理体制が整う見通しだ。 同理事長は「博物館の歴史を考えても、国立競技場を離れて単独で新築することはあり得ない。スタッフには、国立競技場の改築まで苦労をかけることになりそうです」と話した。五輪に参加した選手団から資料の提供を求め、併設する図書館では、約3万冊の書籍と雑誌約270誌のバックナンバーすべてを常備する。華やかな国立の舞台の下で、歴史を受け継ぐ作業が地道に行われている。【五輪取材班】
◆日本体育・学校健康センター 1986年(昭61)3月1日、日本学校健康会と国立競技場を統合し、現在の名称になった。法律に基づいて設立された特殊法人で、体育・スポーツの振興、体育・学校安全および学校給食の普及充実、国民の健康の保持増進が目的。国立競技場のほかには、代々木第1、第2体育館、西が丘サッカー場、秩父宮ラグビー場、戸田艇庫などが組織に含まれている。 (2000年6月2日付) |