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支える人々 シンクロ日本代表ヘッドコーチ井村雅代さん
シンクロナイズドスイミング日本代表の井村雅代ヘッドコーチ(49)にとって、シドニーは5度目の五輪となる。過去4度、すべてでメダルを獲得してきたが、金メダルには縁がなかった。「何とかロシアに追い付き、追い越したい」。現在、日本の実力は世界の2番手……。あと1歩のところまで来ている。 日本は、独創的なプログラムで勝負する。チームのフリールーティン「火の鳥」が代表作で、井村コーチは演出前、手塚治虫原作「火の鳥」を読み、イメージを膨らませた。同テクニカルルーティン「空手」では、選手を大阪の空手道場に通わせ、振り付けを徹底した。作品作りに妥協はない。 井村コーチは日本のシンクロを「スポーツシンクロ」と名付ける。外国人に比べ、手足の短い日本人が勝つには技のスピード、堅さが、最大の武器となる。バレエを基本に、柔軟な動きを見せるロシアを倒すため、日本独特の「新分野」を切り開いた。10年以上、コンビを組む日本水泳連盟の金子正子シンクロ委員長は「井村さんには、経験と繊細な感性がある。情熱家、勝負師でもありますね」と話し、絶大な信頼を置いている。 むろん、これまで苦労も多かった。指導者となったのは74年。いきなり、73年世界選手権3位のエリート双子デュエット、藤原昌子、育子組の担当に大抜てきされた。しかし、現役時代、無名だった井村コーチは、なかなかコーチとして認めてもらえなかったという。 そこで井村コーチが、まず始めたのは、選手を「良く知ること」。水中でのクセ、泳ぎの特徴はもちろん、食べ物や洋服の好みまで知ろうとしたという。物事は選手と同じ目線で考え、自分自身もさらけ出した。お互いを知ることで、エリートと新米コーチの溝を埋め、信頼のきずなを1歩ずつ築いた。 現在、日本代表の武田美保は「先生は厳しいけど、私のことを本当に良く知っている。信用してます」と話す。小学6年から師弟関係を続ける立花美哉は「最近、先生の考えが分かるようになった。それがうれしい」と言った。長年、培った指導法は、カリスマ性にもつながっている。 14日から、大阪で五輪に向けた合宿が始まった。「こってり絞ったる」と井村コーチ。シンクロ日本を支える大阪生まれの49歳。プールサイドには、きょうも威勢のいい関西弁が響き渡っている。【五輪取材班】
(2000年5月22日付) |