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新種目に迫る テコンドー(1)
シドニーでは新たに、2競技10種目が五輪舞台に登場する。世界最大のイベントに参加するには「男性競技は75カ国4大陸以上で行われている」などの厳しい条件がある。申請から20〜30年はかかるといわれる道のりを経てようやくたどり着いた晴れ舞台。新シリーズ「新種目に迫る」ではその道のりや舞台裏の悲喜こもごもを多角的に紹介する。まず、新競技の1つ、テコンドー(もう1つはトライアスロン)。本番を前に国内組織に分裂騒動が起き、多難な船出となった。 ■4団体が2つの勢力に
テコンドーは、蹴り技を中心にした打撃系格闘技。日本はシドニー五輪に代表選手2人の出場枠を勝ち取ったが、その直後の昨年11月、「思わぬ出来事」で世間の注目を集めた。国内組織が分裂危機に陥った。日本オリンピック委員会(JOC)に準加盟している日本テコンドー連盟が2つのグループに分かれ、それぞれ役員会を開催、独自に理事らを任命。互いに「あちらは反乱分子」「われわれが王道」と自らの正統性を主張した。 国内唯一の統括団体という実体が危うくなれば、五輪の日本選手団の派遣母体であるJOCが準加盟を取り消し、五輪に代表を派遣することもできなくなってしまう可能性さえあった。日本テコンドー連盟の円山和則理事長(49)は「要するに『テコンドーを相手に取られた』って思ったんだろうね」と分裂騒動を振り返った。 「発端」は一昨年10月にさかのぼる。週刊レジャー紙「ナイタイスポーツ」の発行社オーナー、円山理事長が、知人の依頼を受け、日本テコンドー連盟の役員に就任した。その時、円山理事長は国内組織の現状に驚いたという。「理事長になる時、所信表明をしたんです。今、日本でまずやらなきゃいけないのは、五輪出場権の獲得。国内のもめ事があるけど、それは予選会が終わってから取り組みます、ってね」。 日本国内には主要4団体が存立していた。そのうち、日本テコンドー連盟(以下連盟)が、全日本テコンドー協会を吸収、イーグル会とも協力関係を結んで、在日大韓テコンドー協会(以下協会)との2大勢力となっていた。円山理事長は昨年、協会とも協力関係を結び、協会所属の樋口清輝(大阪経法大)を連盟の所属選手としても登録した。樋口は日本代表選手として昨年7月の五輪世界選抜(クロアチア)に出場、男子フライ級3位で五輪出場権を得た。 五輪本番を前に、ぜい弱だった組織基盤を安定化させなければ。そう願う各関係者の努力は、徐々に実を結びつつあった。昨年9月の五輪アジア選抜で終了した一連の予選会で五輪出場権も2つ獲得した。前代未聞の分裂騒動が起きたのはその直後。 今振り返れば、ある意味で、マイナースポーツが世界のスポーツ界で市民権を得るため、組織安定化のために、避けて通れない一件だった。【五輪取材班】
▽テコンドー騒動メモ ◆同10日 団体の分裂危機に直面していることを受け、日本オリンピック委員会(JOC)は、28日に行われる全日本テコンドー選手権の後援依頼を断る異例の方針を固めた。 ◆同15日 JOCが双方の代表者を呼んで事情を聴き、代表者が話し合って正常化の方向で調整することに。 ◆同19、20日 日本テコンドー連盟の円山和則理事長と高橋朝義専務理事が会談。 ◆同22日 対立する2グループの代表者が、解決を確認した合意書をJOCに提出。相互の対話の不足から生じてしまった誤解を解き、理事の選出法などの規約改正を進めることで意見が一致した。 ◆日本のテコンドー界の主要4団体 (1)日本テコンドー連盟=81年創設の現主流派(2)イーグル会=70年代に創設された道場。現在でも川崎市に存在(3)全日本テコンドー協会=90年代に在日韓国人と日本人が半分ずつの構成でつくられた組織。日本テコンドー連盟に対抗するものだったが、同連盟に吸収合併された(4)在日大韓テコンドー協会=日本在住の韓国人によってつくられた組織。本部は大阪で日本人も所属。
◎新競技・種目の五輪加入メモ 五輪に採用されるためには、五輪憲章の基準をクリアしていなければならない。主な条件は以下の通り。(1)男性競技は75カ国4大陸以上、女性競技は40カ国3大陸以上で行われている(2)競技が五輪プログラムに加えられる承認は、当該大会の少なくとも7年前とする(3)種目は競技人口数でも地理的にも公式に認められた国際的な地位を持ち、2度以上は世界選手権、もしくは大陸選手権を開催した実績をもつ。シドニー五輪は28競技300種目が行われ、アテネ五輪から採用を求める要望は14団体から出されている。 (2000年4月1日付) |