Sydney2000 cm
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20世紀 有終の祭典 新種目に迫る テコンドー(7)
ブルース・リーも引かれた足技

 女子67キロ級でシドニー五輪に出場する岡本依子(28=岡本精工)は、テコンドーを始めたきっかけについて「ブルース・リーみたいに、格好よく蹴られたらなあって思いました」と話す。アクションスターの故ブルース・リーはさまざまな格闘技に精通していたが、蹴り技にはテコンドーを取り入れていたことで知られる。

 ブルース・リーは1961年にワシントン大に入学した後、米国のテコンドーの父と呼ばれるジョン・リーの教えを受けた。手技の基礎にしたのが太極拳で、足技の基礎はテコンドーだった。格闘技界で蹴り技主体といわれるものは、ブラジルのカポエラ、フランスのサバット、そして、足のボクシングとも呼ばれる韓国のテコンドーの3つ。ブルース・リーはこれらのうち、テコンドーとサバットを研究。加えて、空手の蹴りやムエタイの蹴りも取り入れ、独自の足技を完成させた。

 蹴りは動きが大きいので、アクションとして見せるには最適。スクリーンでも映える。さらに、テコンドーでは、遠い間合いから最短の軌道で素早く蹴りを打ち込むような技も要求される。世界トップレベルになると、1動作で5、6発の連打を繰り出し、跳び蹴りまで織り交ぜる。このスピードが、テコンドーの魅力であり、ブルース・リーが引かれた点でもある。

 五輪競技になっているWTFテコンドーを見ると、数多くの蹴り技がある。ティオティフリギ(跳び後ろ回し蹴り)ナレチャギ(跳び回し蹴り)ティオティッチャギ(跳び後ろ蹴り)ヨプチャギ(横蹴り)チッキ(脳天蹴り)……。手技も認められている。握りこぶしの人さし指と中指の前部分を使う。これらの足技と手技で、胴体、腹部、両脇腹を攻撃する。範囲は、鎖骨から腰骨まで。さらに、鎖骨より上部、耳より前部の顔面への打撃(蹴りだけ)も許される。強烈な打撃が顔に入ると、相手がダウンすることもある。

 テコンドーにあこがれて道場入りする人の多くは、対人での足技をやりたがる。しかし、体力面や構え、足や腰の位置など、基本を身につけなければ、美しい足技は決まらない。日本テコンドー連盟(JTF)本部道場師範の山下弘之4段は「初心者には、試合をやらせません。まずは1人で蹴りの練習をさせて、技を磨いてからです」と話した。

 東京・浅草の本部道場では、華麗な足技を出し合う有力選手の横で、白帯のビギナーが 30分間以上も孤独に耐えている。ブルース・リーのようにキメる道のりは険しい。【五輪取材班】


 ◆テコンドーの主な反則技 (1)接触行為。相手をつかむ、手や腕、体などを押す、つかんで投げる。(2)消極行為。境界線、限界線を越える、敵に背中を見せて攻撃を逃れる、負傷を偽る、戦わずに回り込んで逃げる。(3)攻撃行為。手で顔面を攻撃する、足を踏む、ひざの攻撃、頭突き、急所への攻撃。(4)非紳士的行為。選手やコーチが得点をアピールする、コーチが席を離れる。

(2000年4月7日付)

 

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