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20世紀 有終の祭典 支える人々 日本レスリング協会・高橋正仁さん
海外生活いかし代表チームの手足に

 3月1日、日本レスリング協会に新しい事務局員が加わった。元国士大レスリング部の高橋正仁さん(27)。高橋さんはシドニー五輪レスリング日本代表の「雑用係」になる。「選手がそろって1つの場所にいることは、少ないですから。全日本合宿に顔を出し、まず顔を覚えてもらって、選手の希望を聞いていきたいですね」。シドニー五輪に帯同する予定はないが、代表強化に必要な雑務をこなす意欲に満ちている。

 取り掛かった仕事はまず、日本オリンピック委員会などに提出する代表の報告書づくり。3〜4月には五輪出場枠のかかる五輪予選トライアル4大会やフリースタイルのアジア大陸予選に日本が出場し、大会結果などを盛り込んだリポートを完成させた。また6月16、17日に日本代表決定戦(2階級)が行われる、全日本選抜選手権(駒沢体育館)の大会要項も作成した。今後予定される国内合宿では、代表チームの手足となって動き回ることになる。

 高校から8年間レスリングを経験した高橋さんは、今年初めまで青年海外協力隊の一員として中近東のシリアで生活していた。同国南部にあるスエダで小学生から大学生までにレスリングを教えた。着任当時はアラビア語が分からず、1週間は日本から持参した米と缶詰が食事だった。宗教的慣習にも驚かされることばかりだった。「男性は直接、女性には話し掛けられない。そんなことをしたら、女性の親族が怒鳴り込んで来るんですよ」。

 しかし、そんなカルチャーショックも高橋さんには新鮮だった。「レスリングでロシアや韓国に合宿に行って、他国の考え方の違いに興味を持ったから」と戸惑いよりも好奇心が強まるばかり。1カ月間にわたり現地で語学を猛勉強した。幸い、順応力もあった。「衣食住とも、自分には全然大丈夫だし、住みやすくなった」。結局、自ら希望して滞在期間を1年間延長した。長島事務局長は「外国に長く行っているから、細かいところまでよく気が付く」と説明した。「雑用係」にはうってつけの人物なのだ。

 日本のエース和田貴広(28=和歌山県教育庁)は国士大時代の1年先輩。大学時には学連の委員長を務めるなど、協会関係者とのつながりも太い。高橋さんは「まだ仕事も覚えてはいませんが、できることは何でもどんどんやりたい」と目を輝かせている。【五輪取材班】

 ◆高橋正仁(たかはし・まさひと) 1972年(昭47)10月14日、岩手・滝沢村生まれ。滝沢南中まで野球部に所属していたが、盛岡工入学と同時にレスリング部に所属。3年時に東北大会3位。国士大卒業後に1年間、故郷の滝沢中で体育の非常勤講師を務める。家族は父三郎さん(52)母きみ子さん(48)妹佳奈絵さん(21)。170センチ。

(2000年5月8日付)

 

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