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20世紀 有終の祭典
「五輪への提言」(上)
柔道・古賀稔彦さんと競泳・長崎宏子さんが本音対談

あいまい選考、選手は不安

 各競技の五輪代表が続々と決まり強化も本格化する中、競泳・千葉すずの代表漏れをめぐる騒動で、代表選考のあり方や五輪への強化方針などがクローズアップされている。長期連載「有終の祭典」は今日から3回にわたり、バルセロナ柔道71キロ級金メダルの古賀稔彦さん(32=慈雄会)とロサンゼルス五輪競泳200メートル平泳ぎ4位の長崎宏子さん(31)による対談「五輪への提言」を掲載。五輪の顔として活躍した2人が、経験を踏まえながら持論を展開する。

 千葉すずの代表漏れは、日本選手初のスポーツ仲裁裁判所への提訴という事態になっている。

 古賀 千葉さんの種目にはだれも(五輪に)行かないですよね。出してもいいのに。五輪に出ても無理というレベルで選んだら、日本のほとんどの種目で選手は出せない。世界で通用する種目なんてそんなにないし。

 長崎 日本水連は少数精鋭で、決勝に残れてメダルが取れそうなメンバーだけ選んだんですね。今回はすごく少ない(21人、前回は27人)。「男子では本当に決勝に進めるのかって選手がいて、なぜ千葉すずは選ばれないのか」というマスコミの質問に対し(日本水連は)「個々の選考理由は発表しない。その男子選手は将来性、可能性があるから」って言ってしまった。だからあいまい。

 古賀 柔道でも、1次選考会で優勝した選手がレベルの高い(2次選考の)国際大会に派遣される。そこで勝つのは大変。ところが、3位とか5位の選手がレベルの高くない国際大会に行って優勝すると、最終選考会では第1シードになっている。国際大会にはレベルの違いがあるから、ポイント制にした方がいい。明確に最初からこうなったらこうなりますという規定がないと、選手が不安を持つよね。

 長崎 今回はすずちゃんが「私の目標はあくまでもシドニーの本番なので、今回(日本選手権)は通過点で焦点を合わせてなかった」という発言をしてました。私もそう思ってやっていた方かな。過去の実績とか、国際大会での実績もすごく重視した選考で、選手やってるとだれが選ばれるか見えてくるんです。

 古賀 連盟の中で選考する人たちが、千葉選手との接点がないからこそ、結果だけで判断したんだろうね。ずっと海外にいて過程を知らなくて。1度きりの選考会だし、普段接している関係者がいればカバーしやすいと思う。

 長崎 選手自身は例えば連盟と話すというのは恐れ多いというか、選手たちが若い学生たちというのもあるんだけど、ほとんどないですね。どこが接点かといえば、コーチかな。

 古賀 柔道は全日本の監督、コーチがほぼ大学の先生。その所属の選手はいろんな情報が入りやすいし、先生も自分の生徒に勝ってもらいたい。「おまえ、今度の大会でこの結果を出せばこうなるぞ」って情報があれば選手もやる気になる。

 長崎 水泳と共通点がありますね。大学やスイミングスクールで連盟側の何らかの委員をやっているコーチが見ている選手もいれば、無名チームの選手もいる。何も知らない中で泳いで、判断材料はタイムしかない。すずちゃんも連盟の人と会話があって、選考会までのスケジュールなり調整具合を話し合っておけば、よかったのかも。

【五輪取材班】


 ◆長崎宏子(ながさき・ひろこ) 1968年(昭43)7月27日、秋田市生まれ。幻のモスクワを含め、ソウルまで3度の五輪代表に選ばれた。米国留学を経験し、日本オリンピック委員会(JOC)職員などを経て、現在は「ゲンキなアトリエ」取締役。

 ◆古賀稔彦(こが・としひこ) 1967年(昭42)11月21日、福岡・久留米市生まれ。小1で柔道を始め、東京・世田谷学園高―日体大、同大助手を経て、社会福祉法人「慈雄会」所属。ソウルから3度五輪出場。バルセロナで金、アトランタで銀メダルを獲得。

(2000年6月4日付)

 

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